路面には無数のガラス片。ゆがんだ植栽。そしてひっそりと置かれたペットボトルや缶コーヒー、花。交通事故のあった現場は何度見ても痛々しく、切ないものです。
事故は九月二十九日、玉野市田井の県道交差点で起こりました。乗用車二台と軽トラック一台が相次ぎ衝突、一人が亡くなり、三人が重軽傷を負いました。事故を引き起こした乗用車は、パトカーを見てスピードを上げ交差点に突っ込んできた、ということです。
時間は午前九時過ぎ。現場は近くの小、中学生たちが毎日通っている通学路。あと三十分ほど早い時間だったら…と事故の情報にわが子を案じた親御さんも多かったのではないでしょうか。私も通勤で毎日通っている道です。ぞっとしました。亡くなった方のご冥福を祈るとともに、徹底的な取り調べの結果を待ちたいと思います。
県版や社会面などを見ると、毎日当たり前のように事故や火事が起こり、人が亡くなっていることが分かります。私たち記者は、それらを記事にするとき、どれだけのことを伝えることができているでしょうか。小さな出来事にもそれに携わったり、関係した人たちのさまざまな思いがあります。行数の限られた記事で、すべてをくみ上げることなどとてもできませんが、折にふれ、書ききれなかった部分に思いをはせてみるのも大切なことでしょう。
十五日から新聞週間が始まります。若い記者たちと一緒に、記事を書くときの気持ちをもう一度自問してみたいと思います。
(玉野支社・高木一郎)