Cerebral secreta: 某科学史家の冒言録 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2008-10-10

[]東京出張

「日本文化指導コース」のために東京へ。この日は、予定が夜の「意見交換会」なるものからだけなので、その前は、国会図書館で過ごす。

国会図書館に来るのは久しぶりである。これまではなるべく国会図書館にはいかないで、済ませていたのだが、しばらく来ないうちに、使い勝手が格段に向上している。これなら、待ち時間のロスもだいぶ少ない。昼休みもなくなった。あちこちの図書館を渡り歩くよりも、むしろ国会図書館で見たほうが時間の節約になるかもしれない。

夜は、浅草のビジネスホテルに滞在。なんで、こんなところで講演しないといけなのか分からないのだが。

2008-10-09

[]

今朝も7時前に目が覚めてしまった。案外、容易に朝型に移行できそうである。しかし、やはり眠い。

明日からの東京出張の準備。発表原稿をつくらず、パワポだけ用意して、その場で即興することにする。英語で話すときは、通常発表原稿を作るのだが、一時間半の講義で、30分ぐらい質疑応答ということなので、時間は適当にあわせることができるわけだから、発表原稿を用意するほどのことはあるまいと思う。ただ、前に同じ話しをしたときの録音があるはずなのだが、それがなぜか見当たらない。

[][]「「ラムサール条約」新潟・瓢湖など4か所を申請」(アサヒ・コムきっず)

http://www.asahi.com/kids/news/TKY200810090089.html

瓢湖とは懐かしい。一年ほどまえに、この湖の近くの自動車学校に合宿していたのである。

f:id:kenjiito:20071123100515j:image

[]A4折り紙

両面印刷した紙の利用法として、コーヒーのポットの下に敷いたりしていたのだが、もっと見栄えのいいものを、ということで、A4の紙でなべしき・コースターみたいなものを折る折り紙を探してみたら、適切なものがなかなか見当たらない。

つぎのはてなのページにリンクがまとまっていて、

http://q.hatena.ne.jp/1119573597

次のところに幾つかあるが、

http://homepage3.nifty.com/yuuyuu-sya/select/origami/origami-menu.htm

http://www.origami-club.com/longsize/index.htm

このうち、「おりがみてがみ(つる)」が一番目的にかないそうだ。

http://www.origami-club.com/longsize/crane/crane/index.htm

あとは魚とか、はーととかなら、使えるかもしれない。ちょっとサイズが小さいけれど。

なお、なべしきには使えないが、次の高井弘明氏のものが、秀逸:

ベビーアパトサウルス

http://www.asahi-net.or.jp/~uz4s-mrym/page/origami/sakihin/babyApa1.html

かわうそ

http://www.asahi-net.or.jp/~uz4s-mrym/page/origami/sakihin/kawauso1.html

つぎのCD用の封筒は実用的かもしれない:

http://www.sci.fi/~tenu/diag/2CD.gif

[][]The Video Game Revolution

http://www.pbs.org/kcts/videogamerevolution/index.html

PBSの番組のウェブサイトだが、内容はかなり充実している。

しかし、ゲーム研究者のあいだにはすでに「何が欠落しているかが興味深い」という声が出ていたりする。一年に一項目ずつしかないので、むりはないのだが、そもそもゲームの歴史を包括的に書くというのが、おそらく不可能に近いのだ。

2008-10-08

[]

前夜2時近くまで起きていたにも関らず、6時に目が覚めてしまい、今日は一日中、眠い。

9時のバスに乗るべく、家を出たが、水着を忘れたことに気づき、引き返す。9時4分にバス停手前の交差点で信号待ちをしているところでバスが通過するのを見る。しかし、なぜかバスがバス停でとまってまっていてくれたため、なんとか乗ることができた。多分、運転手の人が、見つけてくれたのだろう。ありがたいことである。

論文に一段落がついたということで、この日は、土曜日に浅草で行う、「日本文化指導コース」なるものの講義の準備に取り掛かる。総研大では、10月に入学する外国からの大学院生のために、これをやっていて、そこで、博物館を訪れたり、日本の文化に関する講義をしたりするので、日本の科学史に講義をせよ、というのである。

正直言って、思いつきで、相談もなしにイベントや行事を作っておいて、その中身を作ることを押し付けられるのは大変迷惑である。しかも、参加者にとっても、講師にとっても、あまり魅力的なイベントではあるとは思えない。失敗しそうで、つまらなそうな企画のために準備をするのははなはだ気がならないし、そのために使う時間が惜しい。できれば断りたかったのだが、お人よしにも引き受けてしまった。

そもそも、私自身は「日本文化なるものは存在しない」という立場なのであり、しかもわざわざ浅草でやって、しかも江戸東京博物館を見学するようなステレオタイプ的な日本文化の紹介には、反感以外のなにものも持ち得ないのである。日本文化を知りたければ、浅草ではなく、秋葉原へ行け、と言いたい。それも含めて、何故日本の国立大学が官僚的なのか、なぜ日本の大学院がアメリカに比べてだめなのか、とかいったような事をを歴史的に話をしようと思っている。あわよくば、今後、二度とあんなとんでもないことをいうやつには講演を依頼しない、ということになればよろしい。しかし、せめて、聴衆の新入生にとっては有益な話にしたい。

実はそういう話は、去年、JSPSのサマープログラムのオリエンテーションで話したので、それを焼直せば、簡単にできると思ったのだが、なぜか講演原稿が見あたらない。ひょっとしたら、原稿なしで、パワポだけで、しゃべったのかもしれない。

ところが、もともとパワーポイントが使えるという条件で引き受けたのに、直前になって、ホテルではパワーポイントが用意できないことが判明した。ポータブルプロジェクターを持っていってもらうが、パワーポイントが使えるという保証はないわけだ。講演を依頼するのであれば、せめて講演者に負担のかからない配慮をしてもらいたいものである。今後、この種の依頼は、よほど信頼のおける相手から来ない限りは引き受けないほうが良さそうだ。

というわけで、夜は、この講義の準備でつぶれてしまう。

生活のパターンが一人暮らしのライフスタイルで最適化してきた。とくに食事のパターンとして、朝食を比較的たっぷりたべ、逆に夕食を軽く食べる生活、というのが私には適している。ごく軽い夕食を職場ですませ、プールで泳いで、また仕事をしてから、終バスで帰るという生活は、家族がいたのではおそらく不可能なはずである。

[]Natural photonics

3時から、葉山セミナー。昆虫などの構造色の話。

http://newton.ex.ac.uk/research/emag/butterflies/

物の色というのを量子力学的な性質としてのみ考えていたが、構造的な色というのがあるらしい。特定の屈折率の物質が、空気中(あるいは魚であれば水中)で、とくていのパターン(間隔)をもった構造で配置されていれば、ある角度に対して特定の色の光が反射されることになる。これは高校理科の幾何光学の問題に過ぎない。生物の場合、そういった複雑な構造が、生物の表面にあって、非常に鮮やかな色を作りだす。例えば、モルフォという蝶が代表的で、そういうのが構造的な発色なのだそうだ。

その構造によって、一次元的(単なる多層構造)二次元的(例えば、棒状のものが束ねられている状態)、三次元的(ルービックキューブ状、といえばよいか)のものがあったりする。

構造色については、wikipediaにかなり詳しいエントリーがあった:

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A7%8B%E9%80%A0%E8%89%B2

たとえば、クジャクや、ヨーロッパで見かける、鴨の首の部分の鮮やかな緑もそういう風にして発色されているそうである。

f:id:kenjiito:20080411171608j:image

上の写真は、チュイルリー公園の鴨。

構造色は、見る角度に依存するわけで、玉虫の玉虫色がその典型なわけだが、構造によっては、かなり広い角度で一定の色が見えたりすることもあるらしい。

さらに、構造色によって、二つの色が混ざって、マクロではその二つの色が混ざる、ということがあったりする。表面の色は黄色であるのが、表面が小さなくぼみが並んでいる構造では、反射・干渉して、くぼみの周縁部では青となって反射される。くぼみの中央部では黄色なので、青と黄色が混ざって、巨視的には、緑に見える、というわけである。

こういった生物のphotonicsを人工的にまねて、工業的に利用しようとしたり、商品を作ったりもすることが試みられているらしい。たとえば、このような発色法を利用して、ロレアルの口紅が作られたりりしているそうだ。

もしナノレベルで、表面の構造を変化させることができれば、色を様々に変化させることもできるわけだろうか(カメレオンの変色は別のメカニズムらしいけれど)。

私は構造色のことは何も知らなかったので興味深かったけれど、セミナーとしては、研究上の面白みがいまいち伝わってこなかった。