不登校や引きこもりの人が入所していた「丹波ナチュラルスクール」(京都府京丹波町)での傷害・監禁容疑事件で、京都府警福知山署が05年秋、施設を逃げ出した10代の男性を保護したものの、間もなく施設に引き渡していたことがわかった。早期の実態解明の機会を逃した可能性があるが、同署の宮川和生副署長は当時どのような調べをしたのか明らかにせず、「現在、事実関係を調査している」と述べるにとどまった。
府警によると、男性は05年10月に施設を逃げ出し、京都府福知山市内の現金自動出入機(ATM)コーナーに潜んで寝ていたところ、警報が作動して駆けつけた福知山署員に保護された。
家族によると、その後に「息子さんが施設が怖いとおびえている。家に帰りたがっている」と同署から電話があったが、同年7月に入所したばかりだったことから施設へ戻してほしいと頼んだという。
家族は朝日新聞の取材に対し、「施設の実態を知らなかった」と話した。逮捕監禁容疑などで逮捕された施設経営者の江波戸聖烈(えばと・せいれつ)容疑者(60)らから「入所者の中には九州大や福井大に進学し、結婚した人もいる。更生させるし、仕事を紹介する」などと繰り返し言われ、信頼していたという。
◇
京都府警南丹署捜査本部は4日、入所者に対する逮捕監禁の疑いで、京丹波町下山野丸、アルバイト松本正平容疑者(26)を新たに逮捕したと発表した。一連の事件の逮捕者は計11人(うち1人は健康上の理由で釈放)になった。