成人学生の国民年金加入が任意だった時代に未加入のまま統合失調症になったのに、20歳前に診察を受けなかったため障害基礎年金を受け取れなかった都内の男性2人が、不支給処分取り消しなどを求めた2件の「学生無年金訴訟」の上告審判決で、最高裁第2小法廷(古田佑紀裁判長)は10日、元学生側の請求を退けた。2審東京高裁で分かれていた判断が統一され、元学生の敗訴が確定した。
初診日は成人後だが、未成年時にすでに発症していたとみられるケースで、「初診日」解釈について初の最高裁判断となった。
判決があったのは、学生時代、20歳を過ぎて統合失調症と診断された都内の40歳と48歳の男性。訴訟では、初診日が20歳未満であれば受給できるという規定について、発症が20歳未満であると確認できれば、初診日をさかのぼって拡張解釈できるかが争点だった。
判決では「支給の判断が客観的で画一的で公平となるように、発病時ではなく初診日を基準としている」と指摘。初診日について、「疾病について初めて医師などの診療を受けた日」と厳格に判断した。
これに対し、同小法廷の今井功裁判官は「統合失調症の特殊性からすれば、発病時期が20歳前であることが医学的に確定できれば、支給用件を満たしたとすることに合理性がある」とする反対意見をつけた。
1審東京地裁はともに元学生の受給資格を認めた。しかし、2審東京高裁では、これを支持する判決と、国民年金法は初診日に20歳未満だった未加入者だけを支給対象としているとして、元学生を逆転敗訴とする判決に判断が分かれていた。
最高裁では現在、同種の訴訟が2件争われている。
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