いかに日本暮らしに馴染みまくっているとはいえ、やはり遠い故郷の食べ物は懐かしいらしく、最近チチカカ関が「ウミータ!サルテーニャー!シルパンチョー!」とうるさい。先月のボリビア独立記念日イベントでボリビア料理の屋台が出ていて、そこで懐かしい味に再会して里心がついてしまったようである。その中でも特にこだわっているのが「ウミータ」と「ピケマチョ」の二つ。
ウミータはエクアドルでも食べた、南米ではスタンダードな軽食の一種でトウモロコシのすり潰しをトウモロコシの皮で包んで蒸したモチみたいなの。構成でいうとケニアで食べていた主食「ウガリ」に近いような気がするけど、香辛料や具が入っていたりしてあれよりはかなり贅沢。ウミータなあ・・・トウモロコシの皮はあるけど、中身のチョクロ(南米のトウモロコシ、白くて粒が大きくて甘味が薄い)が日本じゃ買えない、あれで作らなきゃウミータの意味ないしな。とはいっても作ってまで食べたいと思うほどのものでもないし、チョクロが手に入るならウミータよりもチョクロ・コン・ケソ(茹でトウモロコシのチーズ添え)にして食べたいぐらいで。 というわけで、ウミータはムリ。と言うと 「じゃあピケマチョー!ピケマチョが食ーべーたーいー!!」とジタバタする。 残念ながらピケマチョがどんな料理か、わたしは知らない。んじゃレセタ(レシピ)教えて、作ってみるから、と言うとこれまた生まれたときから何でもメイド任せでお世話されてきたというお育ちのチチカカ関、実は作り方なんて全然わかってない。そんな時こそgoogle先生ですわな。それで教えてもらったのがこういうの。あー、ロモ・サルタード(ペルー風牛肉とフライドポテトの炒め物)みたいな感じ? 「違うー!あれはしょうゆ味ー!」(ペルー料理だけどマジで醤油味) ああ、わかったわかった、そのうち作るから肉買って待っとけ。というわけで家でよく読んで似たようなものを作ってみた。 雰囲気はトマトベースの牛丼(フライドポテト添え)というかなんというか、しかもソーセージまで入るし。やっぱりこういう料理に使う肉は脂肪分の少ない固い肉の方がふさわしい。ロコトというちょっとしたピーマンぐらいある生の青唐辛子(泣くほど辛い)を使うのだが、これも日本では手に入らない。仕方ないので秘蔵のアヒ(唐辛子ソース)をかけることにした。 さて、トウモロコシもそうなのだが、やはり南米ではジャガイモがよく食べられている。何もこれにまで入れることないやん、と思うぐらいの炭水化物フードの中にまでイモが潜んでいたりするので油断ならない。また種類も豊富で、市場などに行ってみると多種多様なジャガイモが売られている、普通の白いの赤いのムラサキの、それぞれ切ってみたらまた中身が違う色だったりして、あちらのレシピなどを見ると、いちいち「ジャガイモ(白)」とかわざわざ指定してるのもむべなるかな、と。 特に標高が高い、環境の厳しい地域では原種に近いジャガイモが栽培されている。小さくて毒性も強くて、そのままでは食用に適さないので、掘り返して夜は寒ざらしにして凍らせ、昼は干したり踏んだりして毒抜きをして食べる。なんかフリーズドライみたいなイモで、これをチューニョと呼んでいる。わざわざそんなしてまで食べんでも、今なら栽培し易い品種もできてるだろうに、と思うのは「こちら」の傲慢なのかもしれないな、と思う。あれは彼らの守り続けてきた食文化だ。 Cuando Florezca el Chuño(チューニョの花が咲く頃には)というケチュア語交じりの歌がある。チューニョの花が咲く頃に恋人が帰ってくる、って歌だよね?とチチカカ関に聞いてみると 「エボリ・・・チューニョに花なんか咲かないんだよ」と言われた。恋人はもう二度と戻らない、という意味の歌だったのだ。 Commented by Toni at 2008-09-18 00:44 x えぼりさ~ん、夜の十時以降にこういう「食べたくなる」のって、 困るんだよなぁ。そのうえ写真がでかいから、ますます食欲を 刺激ックスだし~。 て、だけどこれ、チチカカ関は「ウマウマ」と申されたのかに? あぁ、腹減った。 Commented by Oscar at 2008-09-18 07:45 x 高地では一畝にいろんな種類のジャガイモを植えるのですって。岩波新書の「ジャガイモの来た道」の受け売りですが。色々なジャガイモの話が書いてあって食べたくなるのが欠点の本でした。 で、チチカカ関のご感想は?本当にいかにも太りそうな一皿ですが。これ食べて東京の生活してたらまずいわよね。 Commented by まるあ at 2008-09-18 10:53 x こういう美味しそうな話にはもれなく食いつかずにはいられませぬ。美味しそうなだけでなくこの食べでのありそうなことったら、肉体労働しない人は食べたらいけなそうです。働かざるもの食うべからずって感じ? > チューニョに花なんか咲かないんだよ 泣けます。昭和歌謡的な言い回しですわね。奥床しい…… 私芋好きなのでイギリスでもドイツでも一切困らなかったわけですが、南米でも大丈夫そうで心強いです。別に行く予定があるわけではありませんが。 えぼりさん 仕事があんなに大変なのにお料理もなんてすごい。 (家事嫌いの私は料理から真っ先に手抜きするんだけど・爆) 別館でも話題になってますが、世の中、自分の知っている世界だけが世界じゃないんですよね(当たり前)。違うところに行けば習慣から考え方から食べ物まで違う人たちがいるわけです、別に海外でなくともね。自分だけの基準だけで測って、私は間違ってませんなんて言われると爆笑ものです。視野を広げる努力を止めた人は本当に見苦しい、、、。あ、この辺の続きはまたあちらで。 Commented by valencienne at 2008-09-18 14:27 >Toniさん すみませんねえ(笑)どうも不規則シフト勤務の生活していると「この時間空腹!」ってのがなくなっちゃうみたいで。自宅での実験だったんでチチカカ関にはまだ食べさせてません、たぶんレシピどおりに肉1kg買って待ってるんじゃないかと。 >Oscarせんせ ジャガイモと、あとトマトですね、アンデスから世界の味覚を変えたものといえば。 チチカカ関のメタボの原因のほとんどは酒かと。しかしあんだけ腹出てるのに手足はしゅーっと長いんですよねえ・・・しみじみ。 Commented by valencienne at 2008-09-18 14:32 >まるあさん おかあちゃんも立派な肉体労働かと。あ、感情労働でもありますな。 欧州を救ったのはイモですからねえ。オランダでフライドポテトを一人前注文したらトレイに一杯出てきて驚愕したんですが、あいつらさらにその上にケチャップとマヨネを・・・ >さめさん >視野を広げる努力を止めた人 「防衛機制」って言葉を思い出しちゃいましたよ。自分のキャパでは対応しきれないものはないことにしちゃうの、楽でいいですよねえ。 東京の恵比寿にアイルランド料理の店がありまして(最近行ってないけど、まだあるのかな)とにかく何を注文しても皿の半分は塩茹でしたジャガイモとニンジンがゴロゴロって載って出て来ます。これがなかなか美味しくて、ジャガイモが主食という人生も悪くないかな、と素直に思ったものです。 チャレンジャー(小物)列伝をTBします。 Commented by valencienne at 2008-09-19 21:14 >非国民さん そうそう、欧州北西部の料理にはよくごろごろジャガイモとニンジンの塩茹でがついてます、シンプルで美味いんですよね。 日本人のいいところって、食に節操がないところなのかも、って思います。他の国の人達って、思ってる以上に味覚が頑固です。 ちーちーかーかー!!!!!(怒 お姉さまにわがまま放題、許しません!これだからおぼっちゃん育ちはああああ!!ウキー! >日本人のいいところって、食に節操がないところなのかも 確ーかーにー。 タイ料理屋の一次会から中華の二次会、居酒屋の三次会にラーメン屋でしめてきて「節操のない日本人」を実践してまいりました・・・つうか、気持ち悪い。うううう。 Commented by valencienne at 2008-09-25 00:51 >DoXさん
人に何かしてもらえることが呼吸するぐらい当たり前のお育ちですからねえ、あの男。でもムリヤリ台所で洗い物をさせて、その写真はキッチリ撮ってます。やはりマッチョの国の男なもんで、その辺のことさせられるのは相当の屈辱だったらしくて(笑) 「でも日本の女の子はこういうことする男が好きなんでしょ?日本の女の子にはこの写真見せてもいいよ、きっと『ステキー』って言うでしょ」 なんて言うてましたが、転んでもタダでは起きん奴。
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