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多重債務の相談殺到 県24時間電話

2008年10月10日

 借金を返すメドがたたず追いつめられやすい多重債務の相談に応じる電話を、県が全国に先駆けて24時間年中無休で開設したところ、相談者が殺到している。あこがれのマイホームを県内で実現したものの、無理して組んだローンが返せずに転落しそうな人が目立つという。(鶴見知子)

 24時間相談窓口は、生活クラブ生協が母体となってできたNPO法人コミュニティケア研究所(千葉市中央区千葉港4丁目)が8月から県の委託を受けて開いている。

 8月は138件、9月は265件の相談が寄せられた。そのうち夜間〜早朝は30件と57件。土日の相談も数件ずつだが入ってきた。

 2年半前から同研究所が独自に取り組んできた電話相談は年間50件ほどだったので、予想以上の反響だった。8月に10人でスタートした相談員を今月から13人に増やした。

 相談してくるのは20代から80代まで幅広い。「ワーキングプア」と呼ばれる働く貧困層というよりも、年収300万〜400万円で、借金も同額くらいある場合が多い。目立つのは40代前後の住宅ローンがきっかけになっている人たちだという。

 相談にのっている司法書士の長谷川秀夫さんによると、金利、物件とも高値だった96年から99年にかけてマイホームを購入し、無理なローンを組んだ人たちが多い。勤務先の業績が悪化し、あてにしていたボーナスがなくなったり、夫婦の収入を合算して組んだローンが離婚で支払えなくなったり……。住宅価格が下がり、売るに売れなくなった事例や、収入が減って銀行の審査が通らず借り換えができない事例も多く、生活費に困って新たな借金を重ねてしまうという。

 「10年くらいがんばって、支払ってきた人たちがバタバタ倒れている印象だ。米国のサブプライムローンではないが、そもそもどうして組めたのかと思うような無理な住宅ローンが多く、今後も悲鳴をあげる人が出てくるだろう」と長谷川さんは指摘する。

 同研究所では、電話で必要と判断された人には面談もしている。一緒に記憶をたどって、収支や債務状況の一覧表を作り、弁護士や司法書士への相談につなぐ。心身の不調を抱えていたり、引きこもりの子どもがいたりする人もいるため、地域福祉の担い手である「中核地域生活支援センター」などとの連携も進めている。

 同研究所所長代行の津田祐子さんは「いくつも困難が重なっている場合が多い。借金の解決だけでなく、生活の再生につなげていきたい」と話す。24時間相談電話は043・247・0441。

 県では10、11月を多重債務相談強化月間として、キャンペーンを繰り広げる。10月22日午後1時からは千葉市中央区長洲のホテルプラザ菜の花で「借金問題は必ず解決できる」を主題に、多重債務者の体験などを聴くシンポジウムを開く。無料。

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