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ノーベル賞に「父」あり 名大・平田研究室の放任主義(2/2ページ)

2008年10月10日17時1分

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写真平田義正さん(山田静之・名古屋大名誉教授提供)

 下村さんにウミホタル研究を指示したように、いったん学生にテーマを与えたら、その後はあまり干渉せず「いい意味の放任主義」(山田さん)だった。

 下村さんはこんな風に振り返る。「先生は朝真っ先に来て、会議や講義以外のときはいつも大部屋で実験していた。何を教えてもらったというよりも、環境がいいと、学生たちは自然に習うんだ」

 平田研究室で助教授を務めた米コロンビア大名誉教授・中西香爾さん(83)は「新しい学生に与えるテーマが、ビッシリ書かれたノートがあったと聞いている。テーマが面白かったから、学生も全力を尽くして伸びたんでしょう。ただ、人を見る目は鋭かった。野依さんを引き抜いたのも、眼力でしょう」と話す。

 先進的技術で天然物質の構造を次々と明らかにした中西さんも、米ハーバード大名誉教授で、平田研究室でのフグ毒研究で活躍し、イソギンチャク類の猛毒パリトキシンの人工合成などで知られる岸義人さん(71)も、毎年ノーベル賞の季節に名前が挙がる。

 「お弟子さんたちは本当に立派。私が察するに、平田はたいしてお世話をしなかったと思うけれど」と妻久子さんは謙遜(けんそん)する。受賞直後で多忙な下村さん夫妻を気遣って、まだ電話もかけていない。落ち着いたら、お祝いの手紙を送るつもりだ。(冨岡史穂)

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