○加藤容疑者を起訴＝「責任能力問題なし」−秋葉原無差別殺傷事件・東京地検

　東京・秋葉原の無差別殺傷事件で、７人を殺害、１０人に重軽傷を負わせたなどとして、東京地検は１０日、元派遣社員加藤智大容疑者（２６）を殺人、殺人未遂などの罪で起訴した。事件発生から約４カ月、解明の舞台は法廷に移る。

　鑑定留置の結果、「事件当時から現時点まで統合失調症などの精神疾患はなかった」とされ、地検は物事の善悪の判断が可能で、刑事責任が減免される心神喪失や心神耗弱の状態にはなかったと判断。刑事責任を問えるとしたが、公判では責任能力の有無が最大の争点になる可能性がある。

　起訴状によると、加藤容疑者は６月８日午後０時３３分ごろ、ＪＲ秋葉原駅近くの千代田区外神田の交差点にトラックで突入。通行人をはねた後、ダガーナイフ（刃渡り約１３センチ）で襲い、７人を殺害、１０人に重軽傷を負わせた。

　取り押さえられる直前には、警察官に切り付けて公務を妨害。犯行に使われたナイフのほかに４本所持した。

　動機について、加藤容疑者は調べに「人生のうっ憤のようなものが出て嫌になり、ネットの世界に逃避した」「自分の存在を気付かせてやろうとネットにも書き込んだが、無視される状態になり、現実世界で大きな事件を起こせば無視した者を見返してやれると思った」と供述した。

　被害者に対しては「申し訳ない」「取り返しのつかないことをした」と語っているという。