2008年06月01日

パウダータイプの化粧品とSPF

気づいておられる方がどれだけいるかわかりませんので、念のため。

MMUに代表されるブラシで粉をつけるタイプのファンデーションの
表示されているSPF値は信用できません。

ほとんど紫外線防御を期待できないものが多いです。

SPFの測定というのは、1cm×1cmあたり、2mgの日焼け止めを
塗って測定します。顔ではなく、腕に塗って、紫外線を照射します。
この間、運動など体を動かすこともしません。

ここでものさしを使って、お顔の縦と横を測って
面積を計算していただければわかりますが、
いくら小さな顔の方でも250cm2はありますし、
普通は300cm2くらいはあるでしょう。
つまり標準の方なら、MMUに日焼け止めを期待して肌に塗るなら
300×2mg=600mg=0.6g塗る必要が出てきます。

SPF20のMMUなら、0.6g塗らないといけませんが、
ただでさえ顔料が多いMMUを厚塗りすると、
かなり不自然な仕上がりとなります。

たとえ厚く塗っても粉同士の接着が悪いルースパウダー系のものは
歩いたりして顔に振動を与えると、どんどん落ちていきます。
汗や皮脂で粉が浮くと、紫外線防御力は格段に無くなります。

たとえば、0.9gのMMUをB5の紙に均一に広げ、
それを裏返すと、綺麗さっぱり粉が落ちるようでは、
表示されているSPF値を期待することはできません。

仰向けで日焼けしているならともかく、日常生活では顔を動かすのが
当たり前なので、B5の紙に広げた日焼け止めが紙を動かしたぐらいで
落ちるようなら、日焼け止めの意味がありません。

つまり、日焼け止めの効果を期待するには、肌と粉の接着だけでなく、
肌の上での日焼け止め成分の厚みが必要なため、
粉と粉同士の接着も必要だということがお分かりになられるかと思います。

実用上、肌に実際に塗る量とはかけ離れた量でSPFの数値を
表示するのは、問題ではないかと感じられるかもしれませんが、
これはSPFの測定において、どのくらいの量を肌に塗るかということを
決めているため、特に法律上問題になるわけではありません。

ただ、MMUのSPF値をあげようとして、微粒子酸化チタンなどの
SPFの高い粉末をMMUへ単に混ぜても、粉同士の接着性が
悪ければあまり意味が無いでしょう。

それは、せっかく高SPFの粒子を混ぜても粉同士の接着が悪く、
顔から流れ落ちてしまうため、本来のSPF値を発揮するための
粉の量が肌の上で確保できないからです。

下地を使っても下地の上に直接乗っている粉は落ちませんが、
その粉の上に乗った粉は、粉同士の接着性が悪いため、落ちていきます。

上記の理由からリキッドやプレストタイプのファンデーションと
MMUに代表される微量しか使わない化粧品では、同じSPFの数値であっても
実際の効果は全く異なってしまいます。

化粧品を販売されている方の中には、このSPF測定の基本について
知らない方も多く、間違った案内をされていても致し方ありません。

日焼け止めとして塗ったものが、落ちていくようでは意味ありません。
日焼け対策は抜かりないようにしてください。
(余談ですが、SPF試験での塗布量というのは、ベトナム戦争時に
 日焼け止めの開発を余儀なくされた米軍の基準を使っています)

この記事へのコメント

1. Posted by りー    2008年06月03日 20:01
こんにちは
タイムリーな情報ありがとうございます。
これから夏本番、今から気をつけていなければ〜
と勉強させていただいてますが、

1cmx1cmあたり2mgを塗るというのは
聞いたことがあるのですが、液体の日焼け止めの場合だと
30ml入りのものを毎日使って2ヶ月弱で使い切る
という計算になりますが、そういう目安で使うのがいいのですよね? 

もちろん量だけの問題ではないとは思いますが1本が2ヶ月以上はもってしまうので私の使用量は少ないようで不安になってきました。
意外と厚塗りにしないとダメなんですね。
2. Posted by しんちゃん    2008年06月03日 21:43
りーさん、こんにちは

だいたい30mlのものを2ヶ月で使い切れば
良いと思います。
ただ、そこまでの厚塗りは現実的には難しいと思います。最近のものは、良く伸びますからね。

野外で長時間過ごされるときは、きっちりしないけといけませんが、今の使用方法で特に日焼けされていないようなら問題ないと思います。

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