汚染米の不正転売問題で、接着剤製造会社「浅井」(名古屋市瑞穂区)の浅井利憲社長が農林水産省の調査に「工業用のり以外の用途で使うと知りながら汚染米を出荷した」と話していることが9日、分かった。愛知県警は、浅井が食品利用を認識した上で汚染米を不正に販売したとみて、食品衛生法違反(規格外食品の販売)容疑で強制捜査する。
農水省東海農政局によると、浅井は06年12月~07年5月、5回に分けて政府から農薬メタミドホスに汚染された中国産もち米570トン購入し、全量を米穀仲介業「ノノガキ穀販」(三重県四日市市)に販売した。ノノガキは4社に転売し、汚染米は同社を含め少なくとも19社に流通し、食用にも利用された。
問題発覚後、浅井社長は記者会見で「工業用のりに使うと思って出荷した」「食用に使うと思わなかった」などと釈明。農政局の調査にも同様の説明をしていた。しかし、再度の調査に対し「目的外使用を知りながら出荷した」などと説明を変えたという。
この問題で農水省と愛知県警は9月下旬、静岡市の米販売会社に保管されていた汚染米を採取し分析。農水省が基準値(0.01ppm)の2倍に当たる0.02ppmを検出し、8日に浅井を同法違反容疑で愛知県警に告発していた。【福島祥】
毎日新聞 2008年10月10日 2時30分