起訴前の容疑者段階の強引な取り調べを防ぐ目的で導入された「容疑者国選弁護制度」をめぐり、元検事で岡山弁護士会所属の黒瀬文平弁護士(67)が、容疑者との接見回数を水増しし、日本司法支援センター(法テラス)に報酬計約34万円を過大に請求、30万円余りを不正に取得していたことが10日、分かった。
法テラスによると、2006年に制度が始まって以降、過大請求が発覚したのは初めてという。
岡山弁護士会の調査によると、黒瀬弁護士は昨年3月―ことし5月、受任した7事件の報酬を請求する際、容疑者との接見回数が実際は24回だったのに47回と水増しして請求した。
岡山弁護士会は10月8日、黒瀬弁護士の国選弁護人への推薦を停止。黒瀬弁護士は「誤りがあったことは認めるが、故意に記載したのではない」と話しているという。
接見回数の多さに疑問を持った法テラス岡山が調査を開始し発覚。刑事告訴も検討している。
法テラスは「国費で賄われている国選弁護で過大請求があったことは遺憾」としている。〔共同〕(13:52)