「KIKO手数料=ゼロ」と偽り販売していた銀行(下)
◆支店に押し付ける銀行
銀行側は支店に責任を転嫁している。C銀行の外貨派生商品担当者は「本店でKIKOを手数料なしと紹介したことはない」「営業現場で一部の社員がそのように説明したかもしれないが、“ゼロコスト”の概念について説明しただけで、銀行がマージンを放棄したという意味ではなかったはずだ」と述べた。
D銀行の関係者は「(外貨建て商品の)価格に銀行の手数料を上乗せするのは、すでに幅広く認められた慣行だ」「銀行に自分たちが手にするマージンについて説明する義務はないし、企業が問いただすこともなかった」と説明した。しかし金融監督院の関係者は「監督規定上、企業が認識した外貨建て派生商品の価格と、銀行が実際に提供した価格に違いがあれば、問題となる可能性がある」と指摘した。
◆「隠れ手数料」が損失を拡大
さらに大きな問題は、手数料を明らかにしなかったことで企業がより多くのリスクにさらされた可能性が高いという点だ。この点は銀行側も認めている。複数の韓国系・外資系銀行の派生商品担当者が「自分たちが手にするマージンを銀行が最初から計算せず、別に受け取るという前提でKIKOを設計したとすれば、企業が抱えるリスクは軽減されただろう」と明言した。
実際に約定額を月100万ドル(約9900万円)、行使レート1ドル=930ウォンで約定レートの幅を905ウォンから947ウォンとして契約を締結した中小企業E社のケースでは、1ドル=1200ウォンを割り込んだ今月初めには年間で推定64億8000万ウォン(約4億6800万円)の損失が発生した。しかし年間0.2%から0.3%の手数料を組み入れることなく異なった条件で商品を設計していれば、年間で7200万ウォン(約520万円)の損失を回避できたことになる。
ハンナラ党の高承徳(コ・スンドク)議員は「商品設計の際に含まれる銀行マージンの額によってKIKO契約の内容と企業のリスクは異なってくるが、これほど重要な内容を企業側に明確に理解させることなく適当に取り扱ったとすれば、これは銀行に問題がある」と指摘した。
◆企業の責任も見過ごすべきではない
しかしいくつかの中小企業は、KIKOを事実上の為替投機に利用しようとしたとの指摘もある。為替リスクの回避に満足せず、為替差益を狙って実際に必要以上に多くの額で契約を結び、より多額の損失を出しているのだ。
KIKOにより被害を出した企業の集まりである「為替ヘッジ被害共同対策委員会」の関係者は「多くの中小企業では為替ヘッジ担当社員が一般社員クラスかせいぜい係長だった。これでは意志決定の権限や業務の専門性がないのも当然だ。対策委員会内部でも“企業側の過ちも認めるべき”という主張もある」と語った。
チョン・チョルファン記者
- 「KIKO」損失7兆ウォン、外資系金融機関の懐へ 2008/10/10 07:58:40
- 「KIKO手数料=ゼロ」と偽り販売していた銀行(上) 2008/10/10 10:59:05
- 自動車・ITが好調、10‐12月期は貿易黒字か(下) 2008/10/10 11:27:04
- 自動車・ITが好調、10‐12月期は貿易黒字か(上) 2008/10/10 11:27:01
- 「KIKO手数料=ゼロ」と偽り販売していた銀行(下) 2008/10/10 10:59:07
- 「KIKO手数料=ゼロ」と偽り販売していた銀行(上) 2008/10/10 10:59:05
- 韓国の金融機関、「ドル集め運動」を展開 2008/10/10 10:39:45
- 韓国総合株価指数、大暴落1200割れ 2008/10/10 10:05:16
- ウォン安:「日本が韓国に手を差し伸べる可能性も」 2008/10/10 09:57:20
- ウォン相場に急反発の可能性 2008/10/10 09:39:08
- 韓銀、予想外の利下げ(下) 2008/10/10 09:22:42
- 韓銀、予想外の利下げ(上) 2008/10/10 09:22:38