県が1月から運用を始めた「ドクターバンクふくしま」で、病院や診療所からの求人数が145人に上る一方、医師の求職登録が2人にとどまっていることが9日、分かった。医師不足が全国レベルで深刻化しているためとみられ、県は「登録数が想定より少なく、今後は医師が多い首都圏などに直接出向き、仲介することも検討したい」としている。
同日設置された「県地域医療対策協議会」(会長、松本友作副知事)の会合で県が明らかにした。4月に内外科医が、今月初めに内科医が求職登録し、ともに関東在住の50代男性だった。求人登録は38病院・診療所から計145人あったが、給与や勤務日など条件が合わず、就職には至っていないという。
また、自治体運営の病院の医師を確保するため、県が医師を募集し各自治体に派遣する今年度の新規事業も、医師の応募がゼロという。同課は「これまでは医師の登録を待つだけの受け身の姿勢だった。今後は首都圏の病院や大学にも足を運び、積極的に医師と県内病院を橋渡したい」と話した。
同日の会合では、県内の医師数が人口10万人当たり176・1人(06年12月時点)と全国平均を約30人下回ったことや、県立医大の卒業生の4割が県外に就職していることも報告された。また、メンバーの樋渡信夫・いわき市立総合磐城共立病院長は「大野病院の事故以降、異常分娩(ぶんべん)だとすぐ患者が回されてくる。現場に負担がかかり、産科医が次々と辞めている」と訴えた。
協議会は来月中旬にも次回会合を開き、協議項目を整理して対策を話し合っていく。【西嶋正法】
毎日新聞 2008年10月10日 地方版