先進七カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)が週末に米国で開かれる。世界的に株価が下落し、危機感が深まる中、金融機関の自己資本強化を米国にどう促していくか、G7の真価が試される。
今回のG7はもともと毎年秋に開かれている定例会議だ。だが、金融危機の最中というタイミングだけに、危機対応にどんな方策を打ち出すのか、金融市場はもちろん企業も家計も注目している。
そんな中、米欧六カ国・地域の中央銀行は異例の協調利下げに踏み切った。底が見えない世界的な株価急落を受けて、G7を待っていられない展開になったためだ。下げ幅も0・5%と横並びで、各国中銀の強い危機感を物語っている。
協調利下げにもかかわらず、米国の株価は続落し、日本の株価も九日は乱高下した後、結局、小幅安で終わった。市場は「協調利下げも問題の解決にはならない」と読み切っているようだ。
専門家も市場も共通して求めているのは、金融機関の自己資本強化である。本来は市場から自力で資金を集めて増資すべきだが、世界中の主な金融機関が軒並み自己資本不足に陥った中では難しい。結局、政府が公的資金を投入する以外にないのではないか。
英国はG7を前に、いち早く公的資金の投入を決断した。日本も一九九〇年代の金融危機で公的資金を投入し、問題を解決した。対応が遅れれば遅れるほど、問題は深刻化する。日本は米国に対して、率直に公的資金の投入を提言すべきである。大統領選を控えた政治的難しさがあるにしても、米国の決断を求めたい。
日銀は今回、協調利下げへの参加を見送った。今後の景気後退を見越して、いまも低金利で余地の少ない下げ幅を温存したという見方もある。「先を読む金融政策」という日銀の看板が泣く結果にならないか。日銀も利下げを視野に柔軟に対応すべきだ。
世界的な規模に広がった危機に対応するのに、G7という枠組みでは非力でもある。新興国の経済成長が著しく、かねて「G7だけでは世界経済を適切に管理できない」と指摘があった。
世界一の外貨準備高を誇る中国はもちろん、急成長を遂げつつあるインドやブラジル、ロシアなどを加えて協議すべきではないか。危機を新しい枠組みを考える好機にしてほしい。
この記事を印刷する