札幌市議会で継続審査となっていた子どもの権利条例について、市議会文教委員会は7日、名称を一部変更したうえで条例案を可決した。市議会最終日(11月7日)の本会議で可決される見通し。
子どもの権利条例の制定は上田文雄市長の公約だった。しかし、市民の間で賛否が分かれたことから、07年3月の市議会で否決、今年6月の市議会でも採決が見送られていた。
賛否を巡っては、市議会に市民の陳情742件(反対440件、賛成301件、条文の一部削除1件)が寄せられていた。この日の委員会では、賛成の陳情301件を採択。民主党・市民連合、公明党、市民ネットの3会派が共同で提出した名称を「札幌市子どもの最善の利益を実現するための権利条例」とする修正案と条例案を賛成多数で可決した(自民党は反対)。条文に変更はない。
これに先立って行われた市民による陳情の趣旨説明で、賛成理由は「いじめなど人権侵害に苦しむ子どもが救済される」「少数派の子供たちに大きな励みとなる」など。主な反対理由は「教育現場が混乱する」「責任能力に制約のある子どもに権利を認めれば悪用されかねない」「市民の議論が不十分」などだった。【内藤陽】
毎日新聞 2008年10月8日 地方版