通学途中の子供を犯罪から守るため、各地の教育委員会などが配布している防犯ブザーが故障しやすいことが9日、国民生活センターのテストで分かった。落下テストで、「優良品」と推奨された8商品でブザー音が鳴らなくなるなどの不具合を確認。「鳴らなかった」「つまずいた衝撃で鳴りっぱなしになった」といった相談も約5年間で51件寄せられた。同センターは業界に「子供を守れない」ブザーの改善を求める一方、「家庭や学校で定期的に作動確認をしてほしい」と注意を呼びかけている。
小学生が被害者になる凶悪事件が全国で多発していることを受け、防犯ブザーは普及。文部科学省の調査では、昨年3月末の時点で全国の国公私立の小学校約2万2200校のうちブザーを児童に配布しているのは1万9600校(約88・2%)に上った。幼稚園や中・高校などを含めても約50・5%の学校がブザーを導入しており、防犯グッズとして広く浸透していることがうかがえる。
今年7月、東京都八王子市の教育委員会から「(4月に)防犯ブザーを約5000個購入したが、約1000個が故障した」との情報が寄せられ、同センターが調査に乗り出した。
同市にブザーを納入した大阪府内のメーカーによると、不具合があった一部を調べたところ、内部のハンダ付けが外れたものが見つかった。メーカーは念のため、5000個すべてを改良型と無償交換したという。
同センターの落下テストでは、このメーカーの改良型を含む8商品を選定。高さ1メートルからコンクリート床に落とすと、6回の落下で全商品がコード断線などにより、ブザーが鳴らなくなったりした。8商品はいずれも全国の防犯協会などでつくる「全国防犯協会連合会」(全防連)が優良防犯ブザーとして推奨していたものだった。
メーカー側は「今の基準よりも衝撃に強い製品にするよう改良したい」とし、全防連も「重く受け止めており、(推奨品とする)規格・基準の改善を考えていかなければならない」と対策に乗り出す方針を示した。
同センターが全国の政令都市、中核市などの99市にアンケートしたところ、今年度に防犯ブザーを子供に配布した31市のうち25市が故障の苦情を受理していた。9市では30件以上の苦情を受けており、同センターは「他の自治体でもかなりの故障件数が潜んでいると推測できる」とみている。
【関連記事】
・
小中高の2割“携帯”トラブル 架空請求や個人攻撃メール
・
防犯ボランティア、埼玉1位 条例効果4390団体
・
地域で存在感増すコンビニ 防犯、災害援助も
・
究極の防犯は「窓を割る」!? 空き巣常習犯が供述 大阪府警
・
『防犯先生の子ども安全マニュアル』清永賢二著