《2008衆院選》 上毛新聞ホーム
(2008/10/06)

《上毛新聞・世論調査(下)》 「小寺票」45%自民に 鍵握る保守浮動票

 上毛新聞社が実施した衆院選世論調査(一―三日)では、昨年の知事選で自民公認候補と戦った小寺弘之氏に投票した人の45%が、次期衆院選では自民候補に投票すると回答した。自民を支持しながら候補者や政策で投票先を決める「保守系浮動層」と言え、自民候補にとってはこの層の支持固め、民主候補にとっては切り崩しが支持拡大の鍵を握りそうだ。知事選で特定の支持基盤を持たない山本龍氏に投票した人もこの層とみられる。保守浮動票を狙った陣営の駆け引きは今後、過熱しそうだ。

◎「大沢」から「民主」3割も
 知事選で小寺氏に投票した人で、次の衆院選で自民候補に投票すると回答した人の割合は1、2、4区が約四割、3区は約五割、5区は六割近くに上った。一方、民主候補に投票するとした人も、2区で四割近く、1、4区で約三割、3区は2割強、5区は約一割いた。2、4区は昨年の県議選で民主保守系の県議が新たに誕生したことで、民主への支持をつなぎとめているとみられる。
 知事選で自民公認の大沢正明氏に投票した人は、各選挙区で五割から七割が自民現職を支持した。ただ、1―4区では民主候補に投票するとした人が二割から三割。知事選で大沢氏は、長期政権だった小寺氏からの変革を求めた人の支持も得ており、こうした層が民主に支持を変えたとみられる。
 知事選で民主保守系の支援を受けて無党派層の受け皿となった山本氏に投票した人は、2区で六割、3区で八割、4区で四割が民主候補を支持する。自民現職の二人が小選挙区と比例区で交互に出馬するコスタリカで、強固な組織戦を展開する1区は五割以上が自民を支持、民主の支持は二割程度になっている。山本氏が今年二月の前橋市長戦で自民推薦候補を支持したことも影響したとみられる。
 共産推薦の吉村駿一氏に投票した人のうち1区では七割、2区では六割、3、五区では四割、4区では三割が非自民候補に投票する意向。1区は共産が県内小選挙区で唯一候補を立てるが、吉村氏の支持層を固めていない。

◎争点、「景気」が38% 不信を反映「年金」23%
 「最も重視する政策上の争点」は景気対策が38・4%でトップだった。自民、民主支持層ともに景気対策を求める人が最も多く、選挙戦では各党、候補がいかに実効性のある個別政策を出せるかが勝敗に影響しそうだ。
 重視する政策は、二〇〇七年参院選時の調査では年金記録の不備問題などを背景に「社会保障」が42%でトップ。「景気・雇用・格差」は20%だった。原油や原材料価格の高騰、米国発の金融不安などを背景に、企業経営や家計の将来不安が急速に高まっている。
 「年金問題」も23・4%で続き、年金制度への不信感が根強いことがうかがえる。後期高齢者医療制度や地域の医師不足が社会問題化した「医療制度見直し」は社民支持層でトップで、全体では17・5%で三番目。
 社会保障費が増大する中で浮上する消費税率の引き上げや、ガソリンの暫定税率など「税制改革」を挙げる有権者は、共産支持層で最多の25・6%を占めたものの、全体では8・4%にとどまった。北朝鮮による日本人拉致事件や国際的にテロが深刻化する中で、「安全保障」を挙げた有権者は1・8%だった。
 衆院選への関心は「大いにある」と「少しはある」が75・7%。参院選時と比べ10・1ポイント上昇しており、自民、民主の政権を懸けた攻防に関心が高まっている。両党支持層は重要視するそれぞれの政策課題のポイントが接近しており、選挙時の政権公約が投票動向を左右しそうだ。

【自民公認、現職破る 昨夏の知事選】
 昨年七月の知事選で自民党県連は、副知事人事などをめぐる対立を背景に、初出馬から四期目まで推薦してきた小寺弘之氏の対抗馬として、県連幹事長を務めた県議会議長の大沢正明氏を擁立。元自民県議の山本龍氏も出馬し、自民の支持層を分断した選挙となった。
 大沢氏が三十万五千三百五十四票、小寺氏が二十九万二千五百五十三票、山本氏が十九万六百五十一票、吉村駿一氏が五万二千八百八票、清水澄氏が一万二千五百二十三票を獲得した。
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