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 2008年10月8日(水)

コアなファン超え人気 鉄道博物館14日で1周年 来場者200万人に迫る

 
さまざまな世代に人気の鉄道博物館。入場者200万人は目前だ=さいたま市大宮区

 さいたま市大宮区に昨年10月オープンした鉄道博物館が、14日の「鉄道の日」に一周年を迎える。入館者数は当初の見込みを大きく上回り3月末に100万人を達成。既に182万人を超えており、1年間で200万人に迫る勢いだが、徐々に落ち着き始めているようだ。経済波及効果も期待される一方で、関係者らはブーム後の“定着”を狙った動きをみせている。

 ◇市民権得た鉄道ファン

 初めての夏休みは、連日親子連れらでにぎわった。入館者は平日に分散し、7月19日から8月末までの1日平均で5700人。三連休の中日ともなると1万人を超した。30、40歳代の親子連れが中心だが、高齢者、カップル、女性同士など、老若男女を問わない。

 「マスコミなどでの露出が多かったことや鉄道ブームにも乗ったことが人気の一因」と話すのは、同博物館営業部の大野一聡さん(34)。リピーターは1、2割程度だが、特徴的なのはコアな鉄道ファンだけではない点だ。「実は鉄道好きだったんです、と打ち明ける女性もいる。市民権≠得た感じ」という。年間パスを利用し館内で子どもを自由に遊ばせている親子も多いようだ。

 鉄道の原理や仕組みを体験学習できるラーニングゾーンの利用も多い。さいたま市内の小学校を中心に、オープン当初から3月末までの半年間で224団体、本年度も8月末までに186団体、合わせて約3万人が見学に訪れている。

 本年度内の入場者数も、目標の123万人を大きく上回るペースだ。今後は団体来館者の要望に応えたり、リピーター率を増やすなど「入館者数を落とさないような仕掛けが必要」(大野さん)と話している。

 ◇95億円の経済波及効果

 2月末に東京ドームで行われた「世界らん展」と組み合わせたバスツアーには、平日を含めた9日間で約2千人が参加した。企画した「クラブツーリズム」(東京都新宿区)広報課は「通常のツアーは8、9割が主婦層だが、異なるテーマの組み合わせにより三世代や夫婦での参加に弾みがついた」と話す。他県からのバスツアーでは川越や長瀞など県内観光地を回るものもあり、関東近県のほか、宮城や福島、岐阜などから訪れることも珍しくない。

 博物館に隣接する埼玉新都市交通の「鉄道博物館(大成)駅」の乗降者数は倍増し、1日1万人前後が利用した。

 ぶぎん地域経済研究所によると、入館者数200万人で試算した経済波及効果は約95億円(建設投資を除く)。ビジネスチャンスを逃さないためにも、さいたま市や地元の商工会議所などは「鉄道のまち」として注目を集め、観光客を回遊させるための企画を進めている。

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