専門医・家庭医制度で意見交換―厚労省研究班
「医療における安心・希望確保のための専門医・家庭医(医師後期臨床研修制度)のあり方に関する研究」の班会議(班長=土屋了介・国立がんセンター中央病院長)が10月9日、都内で開かれた。日本専門医制評価・認定機構の池田康夫理事長と日本医師会の飯沼雅朗常任理事が、いわゆる「総合医」についての両団体の認定システムをそれぞれの立場から説明し、出席した班員らと意見交換した。同会議は、6月にまとまった厚生労働省の「安心と希望の医療確保ビジョン」で、研修医制度の見直しが必要とされたことを受けて設置されたもので、今回で2回目。
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日本専門医制評価・認定機構の池田理事長は、同機構の「専門医」に対する考え方を説明。「専門医が提供する医療によって(患者の)安全が担保される。医師の知識、技術も一定以上の基準に保つことができる」と述べ、同機構の専門医制度案が医師側にも患者側にもメリットがあることを強調した。
専門医に要求される資質としては、▽基礎的・先進的な医学の知識▽高度なテクニカルスキル▽患者とのコミュニケーションスキル―などを挙げ、「安全と信頼の医療のためのマネジメント」も必要だとした。
専門医の育成については、各領域のプロフェッショナルである学会が担当するのがベストだとして、「教育プログラムをつくって、専門医制度を運営してほしい」と提案した。また、「専門医を認定する仕組みと認定された医師名」は一般に公開すべきだとした。
今後は、▽インセンティブをどうするか▽どんなトレーニングを経て、どんな知識、スキルを身に付ける必要があるか▽どの領域で何人ぐらいの専門医が必要なのか―なども議論しながら探っていく考えだ。
出席した班員からは「専門医制度は患者のための制度だが、それを話し合う各学会の代表者たちは(自分の)学会の利益も考えなければならない。そこに矛盾が生じる」「患者の立場の人の話を聞くために、外部の人を(機構の)理事に入れた方がよいのではないか」などの指摘が挙がった。
日医の飯沼常任理事は、「最新の医療情報を熟知していて、必要なときに専門医、専門医療機関を紹介できる『かかりつけの医師』が求められている」と述べた上で、日医の「地域医療、保健、福祉を担う幅広い能力を有する医師」認定制度案と教育カリキュラム案について説明した(制度案の詳細は過去記事で)。
飯沼常任理事は、厚労省の「総合科構想」についても取り上げ、日医の制度案とは全く別物であると強調。「厚労省の『総合科』は医師の中から一定の条件を満たす者に大臣許可を与えるもので、医療へのアクセス制限が目的。国家統制的だ」として、今後も医道審議会診療科名標榜部会などで反対していく姿勢を示した。
班員からは、同制度で育成しようとしている医師に産科医がいるかどうかとの質問も出た。これに対し、飯沼常任理事は「(産科は)扱わない」と答えた。
また、班員からは「更年期障害など女性特有の病気の医療も欠けている」「日医の提案している制度と厚労省の総合科構想は根本的な部分で変わらないのでは」などと指摘する声もあった。
最後に、土屋班長は「ホームページを開設したので、皆さんの意見を寄せてほしい」と呼び掛けた。同班ホームページはこちら。
更新:2008/10/09 18:36 キャリアブレイン
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