全国防犯協会連合会が推奨する「優良」マーク付き防犯ブザーで、故障が多発していることが、国民生活センターの調査で明らかになった。子どもを犯罪から守るために小学生を中心に防犯ブザーを配布する自治体が増えているが、思わぬ不備が露呈した形だ。
9日会見した同センターによると、東京都八王子市教育委員会が「今年4月、約5000個配布した防犯ブザーのうち、8月までに約1000個が故障した」として調査を依頼。そこで、「優良」ブザーのうち500~1000円の8銘柄(いずれも中国製)を対象に10個ずつ落下衝撃テストを実施した。
テストは1メートルの高さから落下面を変えて1個に付き計6回落下させた。その結果「ブザーが鳴らなくなった」「鳴り止まなくなった」などの故障が発生。6銘柄は1、2回の落下で壊れたものがあり、5回までに10個すべてが壊れた銘柄もあった。原因は部品の変形による接触不良やコードの切断、はがれなどだった。
さらに同センターは全国の政令指定都市・中核市・特例市計99市にアンケートを行った。回答を寄せた81市のうち、防犯ブザーを配布(貸与含む)しているのは58市で、「故障の苦情を受けたことがある」のは81%(25市)に上った。さらに配布する前に作動確認したところ「鳴らないものがあった」と13市が回答した。
同センターは、「子どもが身につけるものなのに1、2回の衝撃で壊れるようでは役に立たない」と批判。業界には▽子どもが携帯している程度の衝撃で簡単に故障しない製品にしてほしい▽「優良」ブザー適合の規格を改善してほしい--と要望した。さらに経済産業省などにも品質管理や規格改善の指導徹底を求めた。消費者に対しては、「投げたりぶつけたりせず大切に扱ってほしい。故障を発見するためにも家庭や学校で定期的に作動確認した方がいい」とアドバイスしている。【浜田和子】
テストをした銘柄は以下の通り(カッコ内は同センターの購入価格)。
A「防犯ブザービーンズタイプ」アーテック(670円)=10個中4個故障
B「防犯ブザーミニ型GE004」アスカ(730円)=10個中10個故障
C「ミオマモルちゃん」えむ・しー・じゃぱん(600円)=10個中9個故障
D「丸型防犯ブザー」グルマンディーズ(840円)=10個中5個故障
E「SOSアラームN-093」サンエス技研(680円)=10個中7個故障
F「ベルト付非常用ブザーRP-0007-S」デビカ(998円)=10個中6個故障
G「東芝防犯ブザーDB-81」東芝電池(779円)=10個中2個故障
H「110番ブザーBH-224」松下電池工業<10月からパナソニックエナジー社>(680円)=10個中2個故障
2008年10月9日