県立病院の経営形態のあり方を検討していた県議会特別委員会(皆川巌委員長)は8日、一般地方独立行政法人(一般独法)化と、地方公営企業法を全部適用する方式(全適)の両論などを併記した報告書をまとめた。9日に横内正明知事へ報告する。県は12月県議会で経営形態の見直し案を示す見込みだが、皆川委員長は「(議会側の)意見を尊重しないようなら、反対に回る議員も出てくるだろう」と、一般独法化を前提にした県の姿勢にくぎを刺した。
県立病院の経営形態を巡っては、医師や有識者らで構成する検討委が3月、現状では予算配分や職員配置で制約が多いことなどを理由に、県の組織から切り離し独自で運営する非公務員型の一般独法化がふさわしいとする報告書を横内知事に提出。これを踏まえ、横内知事は当初、今年度の早い段階で結論を出す考えを示していた。
これに対し、県議会からは「一般独法化ありき」で早急な結論を求める県側に対し、非公務員型となれば、予算などについて議会のチェックが及ばなくなることに懸念を示したうえで、専任の事業責任者として管理者が置かれる全適を求める意見が続出。このため、6月定例県議会で特別委を設置し、計11回の議論を重ねてきた。
報告書では、経営形態の見直しについては「良質な医療を継続して安定的に提供するための一手段」と位置付けた。意見として▽救急医療、周産期母子医療など政策医療や高度先進医療の確保▽質の高い医療の提供と効率的な病院運営を両立させる運営体制の実現▽県民、病院職員に十分な説明を得る▽経営形態の見直しでどのような医療を提供するのか具体的に明記する--を報告書に盛り込んだ。
皆川委員長は「今後は知事の判断に任せることになるが、我々の議論を十分に踏まえて、どういう形態でも、県民の命を守れるように努力をしてほしい」と述べた。
県は今月15~24日にかけて県内5地域でタウンミーティング(定員100人程度)を開き、県立病院の経営形態について意見を求める。【中村有花】
毎日新聞 2008年10月9日 地方版