吉幾三特別公演
待望の「吉ワールド」が錦秋の中日劇場で全開。10月5日から29日
【暮らし】相次ぐ健保組合の解散 サービス消え募る不安2008年10月9日 企業などが独自運営する健康保険組合の解散が相次いでいる。陸運の西濃運輸グループ、持ち帰りすしの京樽など、本年度すでに十三組合が解散。今春始まった高齢者医療への拠出金増加が主な原因だ。解散で付加金サービスなどがなくなり、加入者に不安が広がっている。 (山本哲正) 「高額療養の付加金で助けられた」と振り返るのは、関東地方で文具業を営む男性(46)だ。母親が三年前にがんを患った。医療費は高額になったが、健保組合の付加金制度のおかげで一カ月数万円の自己負担で済んだ。 健保組合をもたない中小企業の社員らが加入する全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ、旧政府管掌健康保険)では、一人一カ月の医療費自己負担のうち限度額の約八万円(七十歳未満、一般)を超えた部分が戻ってくる(法定給付)。 文具業男性の場合は、自分の会社が同業他社とつくる健保組合に独自の高額療養費付加金制度があり、本人負担がさらに軽減されていた。だが、その健保組合も今年三月末に解散。付加金を受けられなくなった。男性は「高額な医療費がしょっちゅうかかるわけではないが…」といいながらも、将来に不安を抱いている。 健保組合は、一社単独なら被保険者七百人以上、同業複数社なら三千人以上を要件に、国の認可を受けて設立でき、医療保険給付などを代行する。加入者は、法定給付とは別に高額療養の付加金が受けられるほか、定期健康診断や人間ドックの補助や出産育児付加金など独自のサービスもある。 京樽の場合、健保組合の解散で、契約保養所の利用補助がなくなった。人間ドックの補助は、従来の補助を下回るものの社側が一定額を負担することで合意している。 一カ月の自己負担の三万円を超える部分が戻ってくる、高額療養の付加金については「(負担が重く)厳しい課題だが、何らかの補助ができるかどうか、労組と話し合うことになると思う」(同社)。 ◇ 健保組合の解散が増えているのは、今春から高齢者医療への拠出金が増加したからだ。健康保険組合連合会(東京都港区)の集計では、本年度の全保険料収入から見た高齢者医療への支出額は46・5%で、前年度の39・4%から大幅に増えた。この結果、赤字組合は九割に達する見込みだ。さらに社会保障費の削減を進める国は、本年度予算で旧政管健保への国庫補助を減らし、健保組合に約七百五十億円を肩代わりさせる法案を国会に提出した。法案が成立すれば、健保組合の負担はさらに増し、解散がさらに増加する可能性もある。 解散した健保組合の加入者は、協会けんぽへ移る。「公費が投入されている協会けんぽの加入者が増えていけば、国の財政を圧迫する」と懸念する声も出る。 健保組合連合会は、来年度の国予算編成に注文をつける。「これ以上の負担は健保組合制度の崩壊につながる。消費税やたばこ税の引き上げなどの税制改革で、社会保障の安定的財源の確保に努めるべきだ」と主張する。
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