NPO法人「患者の権利オンブズマン」(福岡市、池永満理事長)は8日、白血病を発症し移植手術後に合併症で死亡した県内の女性(当時20歳)の両親の苦情申し立てを受け、調査した病院に、患者への症状説明を徹底するよう是正勧告したと発表した。県内の医療機関に対するオンブズの勧告は初めて。
オンブズによると、女性は05年7月に急性骨髄性白血病を発症。同10月に臍(さい)帯血移植手術を受け、重度の合併症にかかりステロイド剤を投与するようになったが、ステロイド剤による副作用も併発し、翌年12月死亡した。
女性の両親は、治療法の選択や手術後の病状説明が不十分だったと、病院と話し合いを続けてきたが、納得できる回答が得られなかったため、今年5月、オンブズに苦情調査を申し立てていた。
オンブズは聞き取り調査などの結果、病院側に対し、女性と家族に対する治療方法や病状の説明が十分になされておらず、十分な説明に基づく患者の意思決定(インフォームド・コンセント)の原則に反していたと指摘。患者の苦情に速やかに対応できる体制の整備なども求めた。病院は「改善したい」と話したという。【金秀蓮】
毎日新聞 2008年10月9日 地方版