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米金融危機:司令塔不在の韓国、広がる不安(上)

 企画財政部の職員は最近、中国と日本に電話をかけるのに忙しい。李明博(イ・ミョンバク)大統領が先週、米国発の金融危機に共同対応するために提案した韓中日の財務相会議を実現させるためだ。

 しかし、李大統領の提案にもかかわらず、日中両国政府が快諾してくれないため、夜勤までして電子メールと電話による接触を続けている。企画財政部は万一3カ国による財務相会談が不発に終わった場合、国際金融市場で韓国に対する信用度が落ち、外国為替市場の不安が深刻化するのではないかと懸念している。

 韓国政府は最近、米国発の金融危機に対抗してさまざまな対策を立てている。しかし、政府が対策を示すたびに不信感が高まり、金融市場での不安がさらに増幅する現象が相次いでいる。

◆逆効果生む政府の対策

 李大統領は今月3日、韓中日による財務相会談を提案した。続いて6日には韓中日による金融首脳会談を提案した。当初は直ちに具体的な日程の発表があると期待された。しかし、二つの提案はいずれも韓国側の希望事項だった事実が明らかになり、政府に対する市場の不安が増幅された。国内外の金融市場では「大統領が外交上の慣例を無視するほど急いでいることからみて、韓国の外貨準備に問題があるのではないか」という分析が聞かれた。その後、ウォン相場は1日で40ウォン以上下落した。李大統領は8日には「(一部勢力が)ドルを買い占めている」と為替投機に警告を発した。しかし、同日のウォン相場はさらに66.90ウォン下落した。

 先月15日に米リーマン・ブラザーズが破産申請を行って以降、外国為替市場が動揺し、政府が相次いで打ち出した対策も市場に受け入れられていない。韓国政府は先月29日に外貨準備から100億ドル(約9970億円)を金融機関に、今月2日には同じく50億ドル(約4990億円)を輸出中小企業に支援する対策を発表した。しかし、市場では韓国政府の実弾(外貨準備高)が減っているとの懸念が表面化し、ウォン相場は下落を続けた。

 これに先立ち、9月初めにいわゆる「9月危機説」を沈静化させるため、韓国政府は外国為替平衡基金債券を10億ドル(約997億円)相当発行しようとして失敗した。このことも韓国政府に対する信頼を失墜させる契機となった。

金起勲(キム・ギフン)記者

クム・ウォンソプ記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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