京都ウトロ地区問題:住民たちは追い出されてしまうのか(下)
また別の同胞もいる。2004年、ウトロ地区の所有権は一時西日本殖産から井上正美という個人に移った。井上氏は05年5月、韓国のマスコミとのインタビューで自らを在日3世と主張し、韓国政府にウトロ地区を5億5000万円で買い取るよう要求、韓国政府による買い上げ論議に火をつけた人物だ。当時の潘基文(パン・ギムン)外交通商部長官が国会で政府による支援について言及したのもその年の11月だった。
しかし日本の裁判所は06年9月、井上氏の所有権は無効との最終的な判決を下した。契約額が社会通念に比べて非常に低額という事実を理由に、売買契約は西日本殖産職員による職権乱用にあたるとの判決を下したのだ。契約額は明らかではないが、当時の日本の新聞を調べると2000万円だったとの記事がある。井上氏は後日、ウトロ地区の土地売買で暴力行為を行ったとして日本の警察に逮捕された。
- ウトロ地区に設置されている立て看板。/写真提供=ウトロ国際対策会議
◆解決方法は韓国が買い上げること
戦後、日本政府がウトロ地区の土地を住民に払い下げるのが根本的な解決策だった。国営企業の所有だった当時、国営化できる機会もあったが、日本政府はそうしなかった。逆にウトロ地区の朝鮮人学校を閉鎖するなどの弾圧を行ったのだ。ウトロ地区が一旦は民間企業に売却された以上、日本政府が下すことのできる方法はない。歴史的な責任を負って土地を買い入れ、在日韓国人に与える可能性もまったくない。1965年の日韓条約で個人の請求権は消滅したとの立場を一度も覆していないからだ。
現実的な解決方法は、韓国が買い入れることしかない。「韓国」とは、ウトロ地区に住む在日韓国人、韓国政府、韓国国民すべてが含まれる。韓国では過去3年の募金活動により約5億円が集められた。またウトロ地区の住民たちも自ら約3億円を準備している。ウトロ地区の住民たちは、土地の相場を7億円ほどとみている。残りは韓国政府に負担してほしいというのが住民たちの願いだ。もちろん、交渉で決まった最終額によりそれぞれの負担額がさらに増える可能性もある。
東京=鮮于鉦(ソンウ・ジョン)特派員
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