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「社長ですよね」確かめ 誘拐未遂事件

2008年10月09日

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事件現場となった駐車場=8日午後1時6分、新潟市中央区弁天3丁目

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 大手米菓メーカー「三幸製菓」(新潟市北区)の佐藤裕紀社長
(39)が7日深夜、同市中央区の自宅近くの駐車場で3人組に襲われ、連れ去られそうになった事件。3人組は、社長の帰宅時を狙ってワゴン車で乗り付けた。1人は運転席に待機。スタンガンを使って2人がかりで佐藤社長を車に連れ込もうとした。「社長ですよね」と声をかけていることや、事前にスタンガンを用意していることから、県警は計画的に佐藤社長を拉致しようとした可能性があるとみて捜査を始めた。(柄谷雅紀、高木真也)

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 県警によると、佐藤社長が襲われたのは7日午後10時45分ごろ、同区弁天3丁目のコイン駐車場に乗用車を止め、後部座席から荷物を取り出そうとした時だった。3人組の男らに、「社長ですよね。ちょっと話があるんですが」と声をかけられ、スタンガンなどで襲われたという。襲った2人は40歳前後の小太りで身長
170〜175センチ。1人は共に黒色の野球帽とナイロンパーカーを着用、もう1人も黒っぽい服装だったという。

 男らの車にひきずり込まれそうになった社長は、男らを振り払い、近くの飲食店に逃げ込み、店員に110番通報してもらった。佐藤社長は両手とひざに1週間のすり傷を負ったほか、スタンガンを押し当てられた左首などにやけどをしたという。

 現場はJR新潟駅から西に約200メートルの繁華街のはずれ。予備校やホテルが立ち並んでいるが、夜は薄暗く人通りも少ない。昨年5月には50メートル離れた弁天公園脇の路上で、帰宅途中の男性会社員が、運転免許取得のため合宿に来ていた少年2人に殴られ、現金を奪われた強盗致傷事件も起きている。

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■脅迫来ていない 三幸製菓の話

 三幸製菓総務部の源川信栄部長代行は朝日新聞の取材に対し、事件があったことを認めた上で、「事件の詳細はわからない」と答えた。会社でのトラブルがなかったかについては、「脅迫状や脅迫電話などは一切来ていない」と答えた。また、佐藤社長の事件前後の行動については、「お答えできない。早く事件が解決してほしい」と話した。

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■事件直後の佐藤社長 店員が証言

 佐藤社長が逃げ込んだ近くの飲食店の店員(63)が、事件直後の社長の様子を語った。「グリコ・森永事件を思い出してぞっとした」

●「拉致された」

 佐藤社長が店に飛び込んできたのは、7日午後10時45分ごろ。

 社長がものすごい形相で「助けてくれ、助けてくれ」と、お店に飛び込んできた。店の真ん中にある机に突っ伏し、「拉致された」と叫んでいた。

 飲んでいるの、と聞いたら、「飲んでない」と。それで110番して「拉致されそうになって逃げ込んだ人がいる」と言った。

●片方だけのスニーカー

 社長はスタンガンでやられたと言っていた。自宅に電話し、奥さんに「誰か来たか。誰か来ても絶対開けるな。かぎかけて絶対開けるな」と叫んでいた。電話の向こうで奥さんが迎えに来ると話していたようだが、「絶対来るな。家から出るな」と言っていた。履いていたスニーカーは片方が脱げていた。

●見知らぬ男たち

 社長の話では、駐車場に入る時、駐車場内にワゴン車が止まっていた。見知らぬ男が2人降りてきて周囲を見回し、荷物を取り出していると、「社長さんですか。ちょっと話があるんですけど」と話しかけられたそうだ。

 社長は危ないと思い、男らにけりをいれて格闘になったが、倒されて馬乗りされ、「静かにしろ」と、首と脇腹の辺りにスタンガンを当てられた。上着のトレーナーを引っ張られてワゴン車に引きずり込まれそうになったが、トレーナーが脱げたから逃げることができた。

●40代くらいの男

 40代くらいの男3人組で、1人は帽子をかぶっていたらしい。

 社長はここの駐車場に車を止めて自宅に帰っていたらしい。「今日も会社から帰ってきて自宅に向かうところだった」と言っていた。

 脱げたもう片方のスニーカーは警察が見つけ、社長はそれを履いて警察に行ったようだ。とにかくいっぱい警察官が来てすごい騒ぎだった。私は怖くて外に出られなかったけど。社長はとにかくすごい形相だった。ずっと商売をやってきたが、あんなすごい形相は初めて見た。

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