ここから本文エリア 「社長ですよね」確かめ 誘拐未遂事件2008年10月09日
大手米菓メーカー「三幸製菓」(新潟市北区)の佐藤裕紀社長 ◆ 県警によると、佐藤社長が襲われたのは7日午後10時45分ごろ、同区弁天3丁目のコイン駐車場に乗用車を止め、後部座席から荷物を取り出そうとした時だった。3人組の男らに、「社長ですよね。ちょっと話があるんですが」と声をかけられ、スタンガンなどで襲われたという。襲った2人は40歳前後の小太りで身長 男らの車にひきずり込まれそうになった社長は、男らを振り払い、近くの飲食店に逃げ込み、店員に110番通報してもらった。佐藤社長は両手とひざに1週間のすり傷を負ったほか、スタンガンを押し当てられた左首などにやけどをしたという。 現場はJR新潟駅から西に約200メートルの繁華街のはずれ。予備校やホテルが立ち並んでいるが、夜は薄暗く人通りも少ない。昨年5月には50メートル離れた弁天公園脇の路上で、帰宅途中の男性会社員が、運転免許取得のため合宿に来ていた少年2人に殴られ、現金を奪われた強盗致傷事件も起きている。 ◆ ■脅迫来ていない 三幸製菓の話 三幸製菓総務部の源川信栄部長代行は朝日新聞の取材に対し、事件があったことを認めた上で、「事件の詳細はわからない」と答えた。会社でのトラブルがなかったかについては、「脅迫状や脅迫電話などは一切来ていない」と答えた。また、佐藤社長の事件前後の行動については、「お答えできない。早く事件が解決してほしい」と話した。 ◆ ■事件直後の佐藤社長 店員が証言 佐藤社長が逃げ込んだ近くの飲食店の店員(63)が、事件直後の社長の様子を語った。「グリコ・森永事件を思い出してぞっとした」 ●「拉致された」 佐藤社長が店に飛び込んできたのは、7日午後10時45分ごろ。 社長がものすごい形相で「助けてくれ、助けてくれ」と、お店に飛び込んできた。店の真ん中にある机に突っ伏し、「拉致された」と叫んでいた。 飲んでいるの、と聞いたら、「飲んでない」と。それで110番して「拉致されそうになって逃げ込んだ人がいる」と言った。 ●片方だけのスニーカー 社長はスタンガンでやられたと言っていた。自宅に電話し、奥さんに「誰か来たか。誰か来ても絶対開けるな。かぎかけて絶対開けるな」と叫んでいた。電話の向こうで奥さんが迎えに来ると話していたようだが、「絶対来るな。家から出るな」と言っていた。履いていたスニーカーは片方が脱げていた。 ●見知らぬ男たち 社長の話では、駐車場に入る時、駐車場内にワゴン車が止まっていた。見知らぬ男が2人降りてきて周囲を見回し、荷物を取り出していると、「社長さんですか。ちょっと話があるんですけど」と話しかけられたそうだ。 社長は危ないと思い、男らにけりをいれて格闘になったが、倒されて馬乗りされ、「静かにしろ」と、首と脇腹の辺りにスタンガンを当てられた。上着のトレーナーを引っ張られてワゴン車に引きずり込まれそうになったが、トレーナーが脱げたから逃げることができた。 ●40代くらいの男 40代くらいの男3人組で、1人は帽子をかぶっていたらしい。 社長はここの駐車場に車を止めて自宅に帰っていたらしい。「今日も会社から帰ってきて自宅に向かうところだった」と言っていた。 脱げたもう片方のスニーカーは警察が見つけ、社長はそれを履いて警察に行ったようだ。とにかくいっぱい警察官が来てすごい騒ぎだった。私は怖くて外に出られなかったけど。社長はとにかくすごい形相だった。ずっと商売をやってきたが、あんなすごい形相は初めて見た。
マイタウン新潟
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