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左を尚び右を尚ぶ

2008年10月9日

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 いまの世界的金融危機の中で、さらに深刻なのはウォール街、米国が自由経済の覇者という精神的支柱を喪失しかねない危険をはらんでいることだ。金融救済法をめぐる米議会の紛糾がそれを雄弁に物語っている。選挙を控えての思惑という見方は皮相的だ。

 世界中が恐れているのは1930年代の大恐慌の再来だ。当時のフーバー大統領は不介入の立場を取り、政府が無為無策だったことで傷を深めたが、今回は逆に政府が救済に7千億ドルも税金をつぎ込むなど、つまり介入過剰が問題なのだ。時代によって左右どちらが上か中国の古典的論争「左を尚(たっと)び右を尚ぶ」の迷いがいまのワシントンやウォール街の様相だ。

 これで、これまでのウォール街の機能がそっくり金融救済法の巨額資金を運用するワシントンの財務省に移ってしまう。しかも運用を監査する手段は皆無に等しい。そんな途方もない権力を、いくらウォール街出身とはいえポールソン財務長官に与えていいものか、心あるウォール街の友人たちも戸惑う。

 ならば、大統領選挙後、そうした帝王的な財務長官の後任はだれか。ワシントン、ウォール街の友人たちによると、超党派でポールソン続投説もあるが、民主党のオバマ当選ならクリントン政権時のルービン、サマーズの両元財務長官、ガイトナー・ニューヨーク連銀総裁ら、共和党マケイン当選ならゼーリック世銀総裁、ニューヨーク証券取引所のセイン元最高経営責任者らが取りざたされている。

 米金融大手の相次ぐ破綻(はたん)は経営陣の「倫理の欠如」にあると非難されてきたが、いまや米国の経済理念そのものが「倫理の欠如」に悩まされる事態となっているのだ。(昴)

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