ウォン安:「KIKO」の被害続出
今月だけで15社が公示
ウォン安に歯止めがかからないことから、「KIKO」に加入した中小企業の被害も急速に膨らんでいる。
「KIKO」とは為替レートが一定幅以上変動すると通貨オプション契約が自動解消するノックイン・オプション、またはノックアウト・オプションと呼ばれる商品で、主に輸出を行う中小企業を中心に500社以上が加入している。
金融監督院の電子公示システムには8日、新たに五つの上場企業がKIKOによる追加の損失について公示を行った。額は440億ウォン(約31億円)余り。
そのほとんどは今年7月から8月にすでにKIKOによる損失を公示した企業で、「KIKOによる損害→ウォン安→追加の被害」という悪循環のシナリオが現実となっている。
今月に入ってKIKOによる損失を公示した企業は15社で、被害額は900億ウォン(約64億円)を突破した。上場企業が派生商品に投資を行って自己資本の5%以上の損失が発生した場合には、公示を行う必要がある。
今年8月にもKIKOにより29億ウォン(約2億円)の損失が出たことを公示したクヨンテックは、この日再び26億ウォン(約1億9000万円)の損失が出たと公示した。この企業はKIKOが原因で、上半期の営業利益21億ウォン(約1億5000万円)の2倍近い損失が出ている。
この日、KIKOにより117億ウォン(約8億3000万円)の損失が出たと公示したシモテックも、今年7月に84億ウォン(約6億円)の損失を公示していた。
業界関係者は「この日公示されたKIKOによる損失額が今年7月と8月の公示のときとよく似ているのは、為替が7‐9月期に1ドル=1100ウォン台で推移したからだ。今のように1ドル=1400ウォン台をうかがうような状況が続けば、今後KIKOによる損失は到底負担できないほどに膨らんでしまうだろう」と述べた。
ウォン安の流れに歯止めがかかる気配がみられないことから、23カ月分の損失を支払って解約にふみ切る企業も登場している。
デジタル機器メーカーで輸出の割合が90%を占めるカオンメディアは、「昨年8月にシティバンクと契約した3年満期の通貨オプション(KIKO)契約を解約する」と公示した。
KIKOによりすでに6億3000万ウォン(約4500万円)の損失を記録しているこの企業は、満期までの残り23カ月分の損失となる72億ウォン(約5億1000万円)をすべて支払い、結果的に総額79億ウォン(約5億6000万円)の損失を出して中途解約を行った。
今年8月末時点における業界全体でのKIKOによる被害額は、金融監督院の推定でおよそ1兆7000億ウォン(約1215億円)だったが、最近はウォン安が進んでいることから、1ドル=1300ウォンで計算すると5兆ウォン(約3600億円)近くに上ると推定されている。
李仁烈(イ・インヨル)記者
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