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【千葉】

患者の権利 どこまで 亀田総合病院 倫理委の尊厳死提言 判断の難しさ訴える

2008年10月8日

厳しい表情で会見する亀田信介院長=鴨川市で

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 昨年五月に県内在住の男性患者(68)から「意思疎通ができなくなった時は人工呼吸器を外してほしい」との要望を受け、倫理委員会で、その是非を検討していた鴨川市の亀田総合病院(亀田信介院長)関係者は七日、記者会見し、全身の筋肉が衰える難病の筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)を患う男性の病状を説明、判断の難しさなどを訴えた。

 同院在宅医療部の小野沢滋部長によると、男性はメールで要望を伝え、昨年六月の第一回倫理委員会後の訪問診療の際、本人と家族の署名が入った要望書を受け取った。

 男性は現在、二週間に一回ほどのペースで在宅診療を受け、体は右の頬(ほお)が数ミリ動く程度。意識ははっきりしており、頬を使ってパソコンを打つこともでき、意思表示は明確で、要望への判断は困難を極めている。要望は受け入れられないとの途中経過を今年四月、家族に伝えた際は「先生に迷惑かけたね」と申し訳ない様子だったという。

 田中美千裕倫理委員長は「小さな委員会だけで非常に重いテーマを扱うのは荷が重く、結論を出すのは初めからできないと思っていた」と語った。亀田院長は「今後患者の権利をどの程度まで尊重するのか、社会全体で議論しなければならない」と議論の広がりに期待している。

 男性の要望は、引き続き倫理委員会で検討される。今のところ次回の日程や具体的な内容は決まっていない。 (那須政治)

 

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