名古屋市中川区のスーパーで9月、袋詰めのつぶあんを買って食べた同区内の男性がめまいを起こし、気分が悪くなったと中川保健所に訴えた。保健所が残っていたあんを調べ、今月2日に有害物質のトルエンと酢酸エチルを検出した。あんは静岡県の会社が輸入した中国製で、市は同県を通じてこの会社から商品の輸入時期や流通経路を聴くとともに、農薬などがあんに混入していなかったかどうかも調べている。
市によると、男性宅に残っていたあんからは、トルエン0・008ppm、酢酸エチル0・16ppmが検出された。また、近くのスーパーで売られていたあんからもトルエン0・008~0・010ppm、酢酸エチル0・11~0・28ppmが検出された。どこのスーパーで買ったかは不明だが、同店で購入した可能性が高い。
男性は9月25日に保健所に苦情を訴え、入院はせずに回復した。市食品衛生課は検出された物質の量について「命にかかわることはない」としている。
つぶあんは中国製で、静岡県磐田市の食品輸入販売「マルワ食品」が輸入。1キロの袋詰めで売られていた。賞味期限は来年4月。
同社によると、つぶあんは全国のスーパーなどに販売。1キロ入りと350グラム入りの袋詰め商品があり、1キロ入りの場合だと、12袋入った商品の箱を月に500~600個出荷している。
同社には7日午前、浜松市保健所からトルエンなどの検出の連絡があったといい「どこで混入したか分からないので、輸入元は言えない」と話した。
トルエンは、一連の中国冷凍ギョーザによる中毒事件でも検出されており、ギョーザに混入していた殺虫剤「ジクロルボス」「メタミドホス」の溶剤として使用されていた。
トルエンも酢酸エチルも検出された量では、口から入った場合には普通は健康に影響はない。大量に摂取すれば頭がふらふらする症状が出ることはある。両方とも水に溶けにくいものを溶かすために使う薬剤で、農薬や工業用に使われることが多く、食品に含まれていることはない。
毎日新聞 2008年10月7日 東京夕刊