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2008年10月05日

長谷川きよし「40年。まだこれがベストではない。長谷川きよしライヴ・レコーディング。」

 小西康陽さんのプロデュースで、長谷川きよしさんのライヴ・レコーディングがあるということで、観覧者に応募してみたところ見事当選! 喜び勇んで急遽有給休暇をとって、東京に行ったのは今年の6月初めのことだった。ぼくは小西さんのサインがもらえるかもしれない、と思い、そのとき読んでいた「ぼくは散歩と雑学が好きだった。」を持って行ったのだが、会場のピリリとした雰囲気に負けてしまい、すぐそばに小西さんがいるにもかかわらず本をかばんから出すこともできず、開演を待っていたのだった。ささやかな思い出である。

 そのライヴ会場は恵比寿の住宅街のなかにあるレコーディング・スタジオであって、その業界っぽさにぼくはちょっと業界人の気分を味わったりして、いってしまえばちょっとしたおのぼりさんであった。

 はっきりいってしまえば、ぼくはオムニバス・アルバム「うたとギター。ピアノ。ことば。」に収録されている「僕のピアノのそばにおいで」しか長谷川きよしさんの楽曲は聴いたことがなかったため、ほかにどんな演奏をされるのか、さっぱりわかっていなかった。もちろん長谷川さんのプレイを楽しみにもしていたのだが、それよりも、レコード録音される瞬間に立ち逢える、という感動のほうが強かったように思う。

 そしてきれいに整えられた半円のレコーディング・ライヴ会場で長谷川さんがギターを鳴らされた瞬間から、ぼくは長谷川さんの演奏に、それこそ引きこまれるように、夢中になって聴いてしまったのだった。音響もすばらしく、音が一粒一粒ぼろぼろと響いているのがまるで見えるかのようだった。あんなにギターが巧みに鳴らされていくところを、ぼくは初めて見た。アップテンポもバラードも、端正ながらも流暢に鳴らされていくのである。そして長谷川さんの憂えを帯びながらも透き通った歌声が、曲にぴったりあっているのである。しかし「透明なひとときを」で、あんなに爽やかに「酔って〜いよう〜」なんて歌われてしまって、まるでおれのために歌ってくれているみたい、なんて勝手に思ったりして。

 曲と曲のあいだに行われるチューニングもまたそれもひとつの曲のようで、曲間をつなぐBGMのようにも響いた。そして長谷川さんが曲のバックグラウンドを語る解説もまた、興味深いものであった。そうして休憩を挟み3時間くらい経っただろうか。音楽に圧倒されたライヴは終わったのだった。上質な時間を過ごしたとでもいうのだろうか。長谷川さんの音楽に魅了されたのはもちろんのこと、レコードが作られるなかに参加できたということだけでも、ぼくは満足したのであった。

 そうしてアルバムができた。題して「40年。まだこれがベストではない。長谷川きよしライヴ・レコーディング。」である。なるほど、と。2日間に渡って行われた(ぼくは2日目に参加)ライヴの再編集盤である。もちろんすべてではないにしても、あのチューニングとか、MCなども収録されており、それらを削ってやった曲をより多く入れる、というよりも、多分こっちのほうがあの上質な時間や雰囲気がちゃんとパックされたようだ。でも「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」もまた聴きたかった、なんて。そういえば、隣のおばちゃんから飴をもらったんだっけ。ささやかな思い出である。

 ビーチェさんの「かなえられない恋のために」と今作ということで、あのオムニバス・アルバムからふたりのアーティストがアルバムに結びついた。次は誰であろうか。やっぱり前園直樹グループであろうか、なんて。



geno1132 at 22:56 │Comments(0)TrackBack(0)この記事をクリップ!

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