結び
テーマ:Pプレス約2ヶ月半に渡って、Pプレスのことを、いろいろと書いてきました。
このような拙い文を多くの方が読んで下さったことに感謝しています。
当初は5~6回で終わらせるつもりでしたが、いざ自分の見てきたことを時系列に沿って書き始めると、「あれも書きたい、これも書こう」と、どんどん文章が長くなってしまいました。
Pプレスに入社するくだりまでは昔の思い出を語る感覚ですらすらとペンが走ったのですが、その先は慎重になってしまい、なかなか筆が進みませんでした。
そのため、更新が遅れてしまったことをお詫びします。
個人の日記とは言え、ネット上で公開するからには、いい加減なことは書けないので、できる限り事実を、ありのままに再現するように勤めました。
日付や時間が入っている箇所は僕の手帳の記載に基づいています。
会話のやり取りについては、記憶が曖昧な部分は当時のメモを参照し、それでもあやふやな点は関係者に確認しました。
一部に多少の省略や思い違いはあるかも知れませんが、大筋で、そのような内容の会話があったのだとご理解下さい。
それから、実際に自分が見たことと他の人から聞いたこと、そして心の中で思ったことを、きちんと区別できるように書いたつもりです。
この間、たくさんの方が応援や励ましの言葉を下さいました。
なかなか返事ができなくて、申し訳ありません。
一方で、批判的なご意見もありました。
それについて、僕の思うところを書きます。
①「どんな社長なのか入社する前から知っていたのに、入った後で被害者ヅラするのはおかしい。」
以前からT(Pプレス社長)のことは知っていましたが、社内の実態は外から見ていただけでは全然わかりませんでした。
入社して初めて知ったのです。
それを「甘い」とおっしゃる方もいらっしゃるでしょうが、どんな会社でも入ってみないと本当のところはわからないのではないと思います。
また、「被害者ヅラ」をする意図もありません。
僕自身がTから受けた仕打ちは他の人と比べれば、それほどヒドイものとは思いません。
ですから、個人的にTのことを恨んでいるわけではないのです。
社長として滅茶苦茶なやり方をしていることが許せなかっただけです。
決して同情して欲しいのではありません。
この会社に入ったのも、辞めたのも、すべて自分の責任だと思っています。
②「T社長はヒドイかも知れないが、政権交代も大騒ぎしてみっともない。どっちもどっち。世の中には、こんな会社はいくらでもある。」
普通、まともな社会人なら社内でなるべくモメ事を起こさないようにするでしょう。
僕も今までに幾つかの会社を渡り歩きましたが、社長とケンカして辞めたことなど一度もありません。
僕自身は、京都出身ということもあり、権力者には滅多なことで反抗しないタイプです。
会社に不満があるならば、ガマンするか、辞めるかのどちらかしかないと思います。
どこの会社にも多かれ少なかれ、イヤな上司はいるし、面倒な人間関係もあるでしょう。
しかし、それは一般的な会社の場合です。
Pプレスでは、社長自らが、ある従業員のことを気に入らないからといって、些細な理由でターゲットにして攻撃します。
それも他の従業員を巻き込むなど、極めて陰湿な方法を使って行ないます。
そうして、最後には無理矢理、退職に追い込んでしまう。
しかも、それが一人や二人ではないのです。
こんなことが許されて良いのでしょうか。
「お茶を片付けなかったから」、最終的には「即日解雇」されてしまった編集部員の、ものすごく理不尽そうな表情を、僕は忘れることができません。
誰だって生活のために仕事をしています。
自分が致命的なミスを犯したとか、会社が倒産してしまったとかいうのなら仕方ありませんが、社長の気まぐれで、いきなり生活の手段を奪われてしまうんですよ。
みんな、「この会社で頑張って働こう」と決意して入社した、非常に真面目な人たちです。
前にいた会社からの同僚が次々と、そういう状況に追い込まれるのを目の当たりにして、僕は黙って見ていることはできませんでした。
会議の席で社長にいろいろ言ったことを「おとなげない」という人もいます。
その通りです。
でも、そこで自分の考えをぶつけなければ、Tは問題を認識できなかったと思います。
「どっちもどっち」という意見もありましたが、そんなことはありません。
社長は権力を持っています。
気に入らない社員をクビにできます。
けれども、社員は社長をクビにはできません。
そもそも対等な関係ではないのです。
だから、何か言いたいことがある時は、クビを覚悟で「直訴」するしかありません。
まあ、まともな社長に対してなら、そんな荒っぽい物の言い方をする必要はないでしょうが。
「労働組合」を作ることも考えましたが、他の従業員がみんな社長のイエスマンなので、「社長の許可は得ていますか?」などと言われかねないと思い、やめました。
「世の中には、こんな会社はいくらでもある」という意見について。
確かに他にも、このようなヒドイ会社はあるのかも知れません。
しかしながら、それを放っておくのは「良いこと」なのでしょうか。
そのような会社で悲惨な思いをしている人たちは「諦めるしかない」のでしょうか。
事態を少しでも改善しようと何らかの行動を起こすのは「悪いこと」なのでしょうか。
僕は、そうは思いません。
戦前の日本では、労働者の権利はほとんど認められていませんでした。
だが戦後になって、多くの人たちが「労働条件の改善」を求めて闘った末に、勝ち取られたものがたくさんあります。
現在のように、勝手にクビにならないように「雇用」が保障され、生活に困らない程度の「給料」を受け取ることができ、身体を壊さないように「休暇」を取ることが許されるようになったのは、先人たちの血のにじむような努力の結果だと思います。
Tの行ないは、それを踏みにじる暴挙です。
「明らかな犯罪が行なわれたわけでもないのに会社の内情を暴露するのはいかがなものか」という意見もありました。
もしも、「自殺者」でも出ていれば、マスコミも興味本位で報道するかも知れません。
けれど、そのような事件性が無い場合、むりやり辞めさせられた人たちは、どこに怒りを持って行けば良いのでしょうか。
「労働基準監督署」は全く動かず、「裁判」を起こすには大変な労力と費用がかかります。
その人たちは「泣き寝入り」をするしかないのでしょうか。
理由なく職を奪われ、人間らしく生きる権利を侵害されたのに、そんな会社がのうのうと利益を上げている様を指をくわえて見ていなければならないのでしょうか。
そういったことを思い巡らし、悩んだ末に、僕は自分のブログで扱うことにしたのです。
この方法が正しいかどうかは判断がわかれるところでしょう。
ただ、今では最低限の権利が満たされているため、労働問題について無関心な人が多いようですが、あまりにも理不尽なときには、何らかの手段で闘うことも必要だと思います。
たとえ相手が、かなわないほど巨大な存在であってもです。
映画『スパルタカス』(スタンリー・キューブリック監督)で描かれているように、ローマ時代の剣闘士・スパルタカスは、紀元前73年頃、強大なローマ帝国に対して反乱を起こしました。
- スパルタカス スペシャル・エディション (ユニバーサル・セレクション2008年第1弾) 【初回生産限定】
- ¥1,350
- Amazon.co.jp
結局、反乱は失敗し、スパルタカスは仲間たちと一緒にはりつけの刑に処されます。
しかし、それから約500年後、あれほどの繁栄を誇ったローマ帝国は、ついに滅亡してしまうのです。
歴史を振り返ればわかる通り、権力を振りかざして好き勝手な振る舞いをした暴君は、必ず悲惨な最期を迎えています。
僕は古代の英雄とは比ぶるべくもない、単なるしがない一般人ですが、T社長が同じ轍を踏まないように、元社員として心から祈っています。
(聞くところによると、作家さんへの原稿料の支払いが遅れているそうです。作家さんを大事にしない出版社は成長しませんよ。)
さて、長々と引っ張ってきたPプレスに関する連載も、これで一応、終了です。
ブログで取り上げることを快く了承して下さった関係者の皆様に深く感謝します。
もちろん、ここには書けなかったこともたくさんあります。
何かあれば、また書くかも知れません。
ある方から忠告があったので、予告なしに「削除」する可能性もあります。
ありがとうございました。
~終わり~
■素晴らしいです
二か月半に渡る長期連載、お疲れ様でした。他人事ではなく実際にご自身の身に起きた不快な出来事を冷静に描くのは私の想像以上に困難なこともあったと思われます。ぜひ今度また勉強会にてその辺のご苦労や書かれなかった秘話についても教えて頂ければと思います。本当にお疲れ様でした。