2008年07月18日(金)

社長の横暴①

テーマ:Pプレス

Pプレスに入社し、僕とY課長は新たな気持ちで日々の仕事に精を出していました。


多少の困難があっても、それに負けないくらいの気力を持っていたので、前途は洋々に思えました。


あの日」が来るまでは…。


忘れもしない2008年6月13日(金)のことです。


その日の夜は、僕とY課長の歓迎会も兼ねて、社員全員出席の飲み会がありました。


会は予想以上に盛り上がり、そのまま「二次会」にも全員が参加しました。


僕は編集部の新人の女の子たちとバカ話をしていたので、詳しくはわからなかったのですが、一番端の席で(Pプレス社長)とY課長が向かい合って、何やら深刻そうな話をしています。


後でY課長に聞くと、飲み会の場を借りて、社長であるに対し、普段なかなか言えないことを言ったとのこと。


は極端に人の話を聞かないタイプなので、Y課長は「いろいろ大変なのはわかりますが、みんな頑張っているんだから、もっと一人一人の話を聞いてあげて下さい」と、強く訴えたそうです。


すると、は大粒の涙を流しながら、うなだれたと言うのです。


僕は一瞬、「大丈夫かな」と思いましたが、酔っ払っていたので、そんなことはすぐに忘れてしまいました。


週が明けて16日(月)の朝、出社すると、が異常にピリピリしています。


経理のNさが、「どうしたんでしょう? 今日の社長は、やけに機嫌が悪いですね」と僕に話しかけてきました。


僕も訳がわからず、「何だろうね」と、首を傾げました。


その日の午後は、「倉庫業者の人が来て打ち合わせをするから、政権交代とNさんも同席してくれ」とY課長に言われていました。


そして、倉庫業者の担当の人が、社長と一緒にやって来ました。


が電話中だったので、Y課長が、僕とさんを相手に紹介しようとしました。


するとが、ものすごい剣幕で「あなたはいいから!」とさんを追い返したのです。


何が何だか、よくわかりませんが、明らかに様子がヘンです。


夕方、僕はから、「政権交代さん、ちょっといいですか」と声をかけられました。


よく内緒話をする時に使うベランダに移動し、ドアを閉めると、は切り出しました。


Nさんのこと、どう思います?



これは、が何かを主張する時の常套手段で、例えば、「自民党について、どう思います? 私は祖父の代からずっと支持してるんですよ~」と話し始め、結局、こちらの意見は全く聞かないまま、勝手に「政権交代さんも自民党を支持しています」ということにされてしまうのです。


僕は民主党支持なんですけど」とは、いっさい言わせてくれません。


案の定、さんの取るに足りないような幾つかのミスを列挙して、「だから、彼女はレベルが低いんだということを覚えておいて下さい!」と言うのです。


さらに、「それなのにY課長が彼女のことをかばうのが理解できない。直属の上司は私なんですよ!


……。


Nさんは私が何か話すと、いつでも、つまらなそうな顔をする。私の方は、こんなに彼女に気を遣っているのに。それで、A出版の時から知っているからと言って、わからないことはY課長に聞こうとするんですよ!


さんは特別にノリの良い人ではないし、社長の前で緊張していると、「つまらなそうに」見えてしまうのかも知れません。


(何だよ、これは? 要するに「ジェラシー」か?)


この状態を放置しておくと、指示系統が混乱して、会社の経営が間違った方向に行ってしまいます。Y課長は、勝手に自分がナンバー2のつもりになっている。これには早急に何らかの対応をしなくてはなりません。社長は私なんです!


僕は呆れて、物も言えませんでした。


しかし、これは僕にだけ言っていることではなかったのです。


どうやら、編集部の女の子たちも個別に呼び出して、同じような話をしていたのです。


編集の女子社員は、ほぼ全員が22~24で、新卒でPプレスに入社した人ばかりなので、誰も社長には逆らえません。


いや、他のところを知らないので、むしろ、「会社とは、このようなものだ」と信じ込んでいるフシさえあります。


17日(火)、朝から、がヒステリックにさんにわめき散らしています。


何か仕事のミスを攻め立てているようです。


あなたの犯したミスは経理としての信用に関わることです。謝って済む問題ではありません!


非常に気にはなりましたが、僕はお客さんのところに行く予定があったので外出しました。


夕方、僕が帰社すると、会社の電話が鳴りました。


政権交代さん、書店さんからお電話です


はい、お電話かわりました


電話に出ると、受話器の向こうにいるのは書店さんではありませんでした。


もしもし、Tです


あれ? あ、お疲れ様です…。


今、Y課長はいますか


あ、はい。いらっしゃいますが…


かわらなくて結構です。今からY課長にわからないようにして駅前のドトールまで来ていただけますか


指定された場所まで行くと、が編集部の女性社員たちと3人で話していました。


僕が席に着くと、が「今日の出来事を政権交代さんに説明してあげて」と言いました。


はい。今日の午後、F社のKさんがY課長あてに会社にお見えになったんですね


F社というのは、T役員(元A出版社長)の紹介でPプレスと取引することになった製本所で、担当のは、Y課長A出版の前の会社にいた時の元同僚です。


それで、KさんがY課長の名刺を見てあれ、課長なの? 部長じゃないんだとおっしゃったんですね。そしたらY課長がそうなんですよ。まあ、僕は部長のつもりで頑張っているんですけどねと言ったんですよ


女性社員が一生懸命に語っているのが少し滑稽に見えました。


それを聞いて、ああ、これは直ちにT社長に報告しなくては!と思いました。


隣に座っている、もう片方の女性社員も「そうなんですよ」と深く頷きました。


(何だよ。おまえら、「スパイ」か?)


は、「政権交代さんはどう思います?」と聞いてきました。


僕はにではなく、二人の編集部員に向かって話しかけました。


Y課長は、取次(本の問屋)に対しても営業責任者として名前を届けてあるし、ウチくらいの規模の出版社なら、本来は部長であっても全然おかしくはないんだよ。


これまで、このブログを読んで下さった皆さんなら、むしろ、「なぜ、Y課長は部長ではないのか」と、疑問に思われたのではないでしょうか。


実は、僕とY課長が一緒にの面接を受けた時に、「役職」の話が出たのです。


僕が「Y課長を部長にしないのですか」とたずねると、が「これまでの役職よりも上にする考えは今のところ、ありません」と応えました。


だから、「課長」のままなのです。


話を元に戻します。


僕が言ったことに対して、編集部の女の子たちは「へえ、そうなんですか」という顔をしていました。


だが、は、「それは政権交代さんの意見ですよね。役職の任命権を持っているのは社長である私なんですよ。にも関わらず、取引先に対して勝手に部長を名乗るのは問題だと思いませんか?


いやいや名乗ったとかではなくて、元同僚の親しい人との間で出た軽い世間話のレベルでしょう。そんなに問題にしなくても…。


すると、編集の女子社員が口を挟んできました。


Y課長が最近、少しヘンなので、私たちは気にしているんです。この前の飲み会の案内状、あれは笑えませんでした。


飲み会の案内状」とは、先日の飲み会で、Y課長が幹事を務めたのですが、その時、社内に配った案内状の最後に「宴会部次長 Y」と書いてあったのです。


僕は、それを見た時、Y課長に「なぜ、宴会部長ではなく次長なんですか?」と聞きながら苦笑しました。


まあ、単なる「シャレ」ですね。


(それが、どうかしましたか?)


あれ、実は全員、気付いてましたよ」とが言います。


そして、Y課長は、これほど役職にばかりこだわっていて大丈夫なのかと、みんな心配しているんですよ!


(役職にこだわっているのはどっちだよ!)


僕は言葉を失いました。


(何なんだろう、この会社は?)


今までは離れていたので、よくわかりませんでしたが、こんな下らないことを大問題に仕立てあげて騒いでいるなんて、この会社の方が、よほど「大丈夫なのか」と心配になります。


けれども、こんなのは、ほんの「序章」に過ぎませんでした。


これから起こる一連の出来事に比べれば。


~つづく~


コメント

[コメント記入欄を表示]

■無題

もう物語は決まっているだけに、言っても仕方ないことですが、ひとつの修羅場が訪れそうですね^^;

■どきどき。

っごくん(唾をのむ)


前の職場の雰囲気に似ています。。。

■無題

なんか窒息しそうな社会の一つの現れという感じが・・・・

■素晴らしいです

経理ご担当のN様とY課長様に向かう
T社長を筆頭とした狂気が表現された
素晴らしいブログと思われます。
例えではなく、T社長氏はきちんとした
クリニックに行かれたほうがいいのでは
ないでしょうか?。これで序章と思うと
驚愕です。

■う~ん…

今回もまた嵐の予感がものすごく漂ってきます。次回を楽しみにしてます。

■一般的に、男性は複眼的、女性は単眼的と言われています。

もちろん例外はありますが・・・・・
女性経営者には、このようなタイプは意外と多いです。
取るに足らないことでも、針小棒大にして取り上げ、自分の意にそぐわない人は排除する。
欠陥・女性経営者の典型ですね。

■役職について

私は、Pプレスに入る以前に、Tから「Yさんの役職はどうしたらよいですか?」ときかれましたが
A出版やT誠社(Pプレスが出版問屋と直接取引する前に問屋への販売を委託していた出版社)の時と同じ役職でいいんじゃないでしょうかと答えました。販売の仕事ができればいいと思っていました。しかし、そう答えたあとも、Tは、2回位別々の日に「販売部長というのはどんな仕事をする立場なのでしょうか?」ときいてきました。別に部長でなくてもいいですよ、とTに言いました。やけに役職の分析をしたがる人だと感じました。



コメント投稿

コメント記入欄を表示するには、下記のボタンを押してください。
※新しくブラウザが別ウィンドウで開きます。

トラックバック

この記事のトラックバック Ping-URL :

http://trb.ameba.jp/servlet/TBInterface/10117470875/db7d66a5

powered by Ameba by CyberAgent