通常の妊娠・分娩(ぶんべん)にもかかわらず子どもが脳性まひになった場合に適用される産科医療補償制度が09年1月1日から実施されることに伴い、県病院事業庁は7日開かれた県議会健康福祉病院常任委員会で、県立病院の分娩料を引き上げることを明らかにした。引き上げ額は同制度の保険料分の3万円で、県議会第2回定例会12月会議に県病院事業条例改正案を提出する。
分娩時の医療事故は、裁判で争われるケースが多い。このため民間保険を活用して、同制度が実施されることになった。制度を利用して保険に加入すると、先天性要因がある場合や分娩後の感染症による障害を除いて脳性まひになった場合、医師らの過失の有無にかかわらず、3000万円が補償される。
保険料は各分娩機関が支払わなければならないため県立4病院のうち産科がある県総合医療センター(四日市市)と志摩病院(志摩市)の分娩料を引き上げることにした。
9月25日現在、県内の病院・診療所、助産所など計3276カ所のうち、82・4%が制度に加入しており、多くの分娩機関で保険料を分娩費に上乗せするとみられる。しかし、制度実施に伴い、出産一時金が35万円から38万円に引き上げられるため、妊婦らに実質的な負担増はないという。【田中功一】
〔三重版〕
毎日新聞 2008年10月8日 地方版