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【産経抄】10月8日
このニュースのトピックス:金融危機
ニューヨーク市場に引きずられる形で、東京株式市場はきのう日経平均株価が一時、1万円の大台を割った。まさに世界が米国発の金融危機に悲鳴をあげているとき、こそこそ北朝鮮へ出かけていった御仁がいる。
▼米国のヒル国務次官補だ。北朝鮮が核施設を当面使用不能にする無能力化作業を中断したのに慌てふためいてアメをなめさせにいったようだ。韓国の通信社電によると、案の定、食糧支援など追加の見返り措置を要求されてワシントンに戻ったとか。
▼それだけならまだしも、北朝鮮が核施設の検証計画を提出さえすれば、テロ支援国家指定を解除するという甘い約束をしてしまったようだ。計画はあくまでも計画にすぎない。約束した拉致被害者の「再調査」もほごにするような連中をどうして信用できるのだろうか。
▼瀬戸際外交が北朝鮮の唯一の武器であるのは、新米外交官だってわかる。よしんば核施設が再稼働しても国際社会から制裁を受けて困るのは北朝鮮の方だ。金正日総書記の健康状態がとりざたされる中、何をそんなに焦っているのか。ヒル氏が日米同盟よりも総書記やその取り巻きとの友情を大切にしているのは確かなようだが。
▼政権末期とは悲しいもので、功名心にはやる部下の暴走を大統領は抑えられない。ブッシュ政権は、イラクで失敗し、今また北朝鮮で失態を犯そうとしている。もうこれ以上、何もしてくれるなといいたい。
▼ここは一番、ニューヨーク・タイムズに「ナショナリスト」と褒められた麻生太郎首相の出番だ。しっかりと大統領にクギをささないといけない。米国発の世界恐慌という最悪の事態に備えた緊急対策も待ったなしだ。いまこの国にのんびり総選挙をやっているヒマはない。