次期衆院選・宮崎1区に自民からの出馬が取りざたされていた東国原英夫知事が6日、立候補しないことを表明した。知事は夕方、記者団に対して多数の県民から寄せられた「任期を全うすべきだ」との意見を重視したことを明らかにした。一方、宮崎1区の自民公認候補探しは白紙に戻った状態で、選挙戦は混とんとしてきた。また、県民からは知事の不出馬表明に、「当然」「よかった」などの肯定的な声が大半を占めた。【衆院選取材班】
■知事
知事が宮崎1区の候補に浮上した3日夜から6日朝までに県庁に寄せられたメールは195件。うち、次期衆院選出馬に「反対」が183、「賛成」が4、「その他」8だった。知事は「県民の意見を重く受け止めたい」として、不出馬決断への大きな要因だったことを認めた。
■宮崎1区
一方、自民県連は7日から中山成彬・前国土交通相の引退で空席となる宮崎1区の公認候補の公募を開始する。しかし、党本部がラブコールを送っていた知事の出馬がなくなったことで、候補探しは振り出しに。緒嶋雅晃会長は「県内外から募集しているから待つしかない」と言葉少な。
同選挙区に出馬表明している共産新人で党県書記長、馬場洋光氏(39)は「出馬が取りざたされた時に『出ません』と言うべきだった。『宮崎は非常事態』と言うだけで、自分の立場を表明せずに周囲を困惑させたことは政治家として失格」と憤った。また、同じく出馬予定の無所属の新人で、元林野庁長官、川村秀三郎氏(59)は「知事は県の代表だから任期を全うするのは当然。選挙情勢が日々刻々変わるが、自分の政策を理解してもらえるよう努力するだけ」と話した。
知事が6日午前、記者団に語った不出馬意向の要旨は次の通り。
(報道陣が切り出す前に)何を聞きたいのですか。今のところはありません。衆院が解散しても、公示になっても「今のところありません」と言おうかと思っている。
--近く予想される次期衆院選については。
今のところはありません。それでいいじゃないですか。
--「今のところはありません」というと、県民が「出馬するかも」と思うのでは。
はっきり言って、いつかはあるだろう。いつかは地方から国を変えなければ、と強い気持ちを持っている。地方の1知事が頑張っても国のシステムは変わらない。国の絶大な権力は、システム上も法制上もある。
--5日の都城市の政治資金パーティーで支持者からどのような意見があったか。
「知事を1期全うしていただきたい」という意見が多かった。
--自民県連の公募制が7日から始まる。どうするか。
今のところありません。
--自民から出馬の話はあったか。
来ていると思う。後援会に。
--後援会に自民から来た打診とは。
大まかに言うと、宮崎1区か比例代表どちらかに出てくれと。
--自民党本部からか。
本部からではない。与党の国会議員を通じて知り合いからとか……。
--中山成彬・前国交相からか。
か、どうかは分からないけど、国会議員の方を通じて「知事はどういうお考えか」という提案があった。【種市房子】
◆県民の声
今回の騒動で知事のインタビューを聞いていると、国政に出たい野心が見え見え。まだ任期途中で、経済面など本当の実績は何も挙げていないのに、次のステップに進もうなんて、無責任で軽薄としか言いようがない。私たちが投じた1票は何だったんだろうか、と不信の念を禁じ得ない。
ありがたい話だ。いずれ国政に出て行くのは悪いことではないが、今はまだ知事としてやってほしいことがある。「宮崎」が全国ブランドになったといっても、実態は流行だ。知事を辞めても宮崎がブランドとして残るよう、道筋をつけてほしい。
当然な話だ。知事を途中でやめたら、政権を途中で投げ出した安倍元首相、福田前首相ら同様に批判が集中していただろう。将来の政治活動を考える上でも、今回は出馬しなくて正解だった。
良かった。今やっと県が明るくなってきたところなので、任期までは頑張ってほしかった。県外でのPRもさることながら、今後は県内の景気を回復させて、県全体の底上げを図ってほしい。個人的にはリーダーシップを発揮して教育問題に取り組んでほしい。
これからも県のために尽力すべきだ。宮崎の観光をPRしてくれたおかげで宮崎を全国に知らせてくれたことは大変感謝している。当然国政も狙える逸材だとは思うが、それは任期を全うしてからの話。まずは足場を固めてからだ。
安心した。残らんとウソだね。国会に行ったら棚ぼたに過ぎる。宮崎をかき回して逃げることになり、安倍さんや福田さんと同じことになったし、お笑い芸人で終わるところだった。自制心が働いてくれて本当によかった。もっと落ち着いて、心温かい政策を期待しています。
毎日新聞 2008年10月7日 地方版