第153回
天下りの全面禁止で民主党の減税案は実現できる
経済アナリスト 森永 卓郎氏
2008年9月29日
9月22日に投開票が行われた自民党総裁選において、麻生太郎氏が有効得票数の3分の2を獲得して圧勝した。
この総裁選の得票数を見て、わたしには改めて2つのことが分かった。
1つは、自民党という集団が、単に政権側にいたい人の集まりであるだけでなく、主流派に属していたい人の集まりだということである。
わずか1年前の総裁選を思い出してほしい。あのときは、最大派閥である町村派が福田前総理支持を打ち出すやいなや、国会議員全体に雪崩現象が起きた。最後まで麻生氏を支持していた鳩山邦夫氏らの一派を除いて、一斉に福田支持に走ったのである。
ところが今回の総裁選では、麻生有利と見るや、麻生支持に雪崩を起こした。そこには政治家としての理念も理想もなく、ただ主流派に属していたいという欲望があるのみと言われてもしかたがないだろう。
もう1つ分かったことは、国民がようやく小泉マジックから目覚めたということだ。
選挙中盤で小池百合子候補が小泉元総理の支持を受けたことで、小泉構造改革派vs.構造改革否定派の争いがクローズアップされ、一部では、麻生氏と互角の戦いをするのではないかという観測もあった。にもかかわらず、ふたを開けてみれば得票数は46票。与謝野馨候補の66票にも大きく及ばない第3位であった。
とくに、小池候補の地方票がゼロだったことは意味が深い。これは、いわゆる小泉改革による市場原理主義の進行によって、地方の疲弊が半端でないレベルにきたことを示している。そこに昨今の景気後退が加わったことが、小泉改革派の小池氏が伸び悩んだ理由だろう。
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