予算委員会を開いても、補正予算案は簡単には通らない
では、麻生氏が総理になって景気がよくなるのか。残念ながら、それはあまり期待できないと言うしかない。
第一の問題点は、緊急経済対策を盛り込んだ補正予算案の扱いである。解散前に補正予算案が通る可能性は低いだろう。なぜなら、いったん予算委員会を開いたら、民主党は自民党の化けの皮をはがそうと徹底的に追求するに違いないからだ。
予算委員会の最大の特徴は、原則としてどんな審議でもできるという点にある。何事も、予算に絡んでいない話題というものはない。予算委員会ではあらゆるテーマを採り上げて徹底的な論戦となるのだ。
先日、NHKテレビの討論番組で自民党の伊吹文明氏と同席した折、わたしは「補正予算を通してから解散してくださいよ」と求めたのだが、それに対して伊吹氏はこう答えた。「オレだってそう思う。もし、民主党が2、3日でさっさと審議を済ませて、緊急総合対策を通してくれるならやるよ」
だが、それに民主党が応じるとは思えない。確かに、民主党幹部の中には、景気対策を念頭に置き、補正予算をスピーディーに審議することに柔軟な姿勢を見せている人もいる。だが、閣僚の失言問題やスキャンダルが表面化したら、野党としてそれをみすみす見逃すことはないだろう。
結局のところ、予算委員会を開いても、補正予算は簡単には通らないと考えたほうがいい。となると、与党が中心になって衆議院議決をして、30日後の自然成立を待つという手がある。憲法の定めによって、予算は衆議院に優越的な権限が与えられている。衆議院で可決後、参議院がその受領後30日以内に議決しなかった場合は、衆議院の議決が国会の議決となるという定めがあるのだ。
だが、その手を使うには、自民党のお家の事情がある。30日も解散をしないで待っていたら新内閣に対する支持率が落ちてしまうことが心配されるのだ。
いずれにしても、予算の執行は来年になる可能性が高い。
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