官僚と本気で戦う気があれば減税の財源は調達できる
結論からいえば、22兆円減税の財源調達は可能であるとわたしは考えている。
民主党の主張はこうだ。国の歳出の総額を、一般会計だけでなく特別会計を含めて計算すると220兆円になる。この1割をカットできれば22兆円になるというわけだ。「民間企業ならば1割カットは当然ではないか」と言われると、確かにそうかなと思う。現に、わたしがテレビ局で話を聞いてみると、昨今の不況によって制作費4割カットが当たり前なのだという。
それを考えれば、歳出の1割カットくらい簡単にできそうだ。例えば、役人の天下りを全面禁止すれば、かなりの財源を節約できる。
いま、霞が関の高級官僚が公益法人に天下すると、どれだけの費用がかかるかご存じだろうか。天下りをすることで、秘書、個室、専用車、海外出張(という名の海外旅行)の4点セットが付いてくるのだが、このために1年間でなんと1人当たり1億円もかかるのだ。
もし、これを全廃できれば、1割カットはそう難しくない。
だが、役人にとっては、天下り後の厚遇が楽しみだからこそ、それまで働いてきたという側面がある。ある公益法人の専務理事に天下った人が、こんなことを言っていた。「オレは課長補佐の時代に、安い給料で毎日夜中まで働いていた。それはもう、まるで地獄の底で働いたようなものだった。だから、いまはその貯金を取り返しているんだ」と。そして彼はいま、1日に1秒も働いていない。
裏返すと、天下りを全廃しようなどといえば、こうした役人(すくなくとも高級官僚)をすべて敵にまわすことになるわけだ。それだけの覚悟が本当にあり、それで政権を回すことができるか、それが勝負だと思う。
これまで自民党の歴代総理は、天下り禁止を何度も口にしてきた。リーダーシップがあると言われた小泉元総理でさえ、はっきりとその意志を示してきたにもかかわず、天下りを無くすことはできなかった。
民間企業への天下りは、国家公務員法によって2年間は規制されるようになっているが、公益法人や特殊法人への天下りは野放しといってよい。
自民党は、無駄をなくすとして、道路公団の民営化、都市・基盤整備公団の独立行政法人化(都市再生機構)などを行ってきたが、それは大きくて目立つから狙い撃ちにしたに過ぎない。あれは国民の目をそらすカムフラージュだったとわたしは見ている。
本当の天下りの温床は公益法人だ。全国で少なくとも2、3万カ所の公益法人に、役人が天下りしているのが実情である。これを1つ1つチェックして対処するのは、極めて困難だろう。やるなら、天下り全面禁止を掲げて、すべてを一度につぶさなくてはならない。
わたし自身としては、それをやってほしいし、やっていいと思っている。
減税の財源については、近々、回を改めて再び論じたいと思う。
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