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2008-10-06 バレる理由は3つとも同じ
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まったく同じ構造ですね。あまりにきれいに同じだわ。
(1)食品偽装・・・ここ数年、すごく多いでしょ。赤福や白い恋人的なメーカーにしろ、吉兆みたいなレストランにしろ、食肉加工業にしろ、「実は使いまわし」「実は国産品じゃなかった」などがばれて告発され報道される例。
これは決して「昔は偽装がなかったが、今は偽装が増えてきた」ってことではないよね。多くのケースで「不正は十数年にわたり行われていましたが・・」と報道されてるでしょ。つまり単に「昔は偽装がバレなかったが、今はバレやすくなっている」ってことなわけです。
じゃあなんでバレ易くなったかといえば、不正を知りつつ働いていた人たちが、昔は「みんな正社員だったが、今は大半が非正規雇用や派遣社員だから」ですよね。
いいこととは思わないが、正社員たちはその会社の“家族”として、会社を守ろうとしてきていた。その代わり会社は一生自分を守ってくれていたのだ。でも今は、その会社になんの恩義も義理もないどころか、むしろ「頭にきている」人がたくさん働いている。しかもすぐに首にされる。
2万円で売られている料理が使いまわされていることを、自給800円で使い倒されたあげくに虫けらのように解雇されたバイト社員が「隠してあげる」必要は全くない、だろう。だから内部告発によりどんどんこういったスキャンダルが明るみに出るようになった。
会社が、会社と人生をともにしていた社員だけで経営されていた時代には「バレなかった」ことが。
(2)社会保険庁・・・これもほぼすべての悪行が「過去何十年も行われてきた」ことですよね。なんでここ数年だけこんなに新しいことがどんどんバレはじめるのか、不思議に思いませんか?反対にいえば、ここまで無茶苦茶なことが行われていたのに、数年前まではまったく明るみに出ず隠されていた理由は何なのか?
民主党の議員が一生懸命調べたからわかってきたのだと思っています?それは余りにおめでたい見方ですよね。民主党の議員に“全部教えてくれる人”が出てきたからわかり始めたわけ。そんなの教えてくれるのは誰だって?
簡単です。社会保険庁の内部者ってのは労組なわけです。悪名高い労組ね。彼らは過去どんな不正が行われてきたか全部知ってる。てか、それを実際にやってきたのも見逃してきたのも全部彼らなのだから。
で、今、彼ら労組ってのは民主党の最大の支持基盤です。一方で「自民党&官僚」軍団は、社会保険庁から(民主党を支持する)労組を排除しようともくろんだり、社会保険庁解体まで推進しようとしている。
なんだったら、今までの悪行をリークしようぜ、と。労組にとって(俺たちがやったこととはいえ)社会保険庁の悪事・悪行がバレればバレルほど自民党が叩かれる。つまり自分たちが支持している民主党が得をする。
労組の人はマスゾエなんて大嫌いなわけです。あんな奴、ぶっつぶしてやれ、と。今まで俺たちがやってきた悪行の限りを選挙までの間ちょっとずつちょっとずつ毎月開示してやるぜ、と。
というわけでいくらでも社会保険庁の悪行はマスコミにリークされるわけ。「自民党ざまあみろ」、「官僚のアホども、ざまあみろ」です。「元官僚、*1今自民党の桝添に俺たち労組の力を見せてやれ!」です。
社会保険庁という組織と、労組という労働者団体が一生の命運をともにしていた時代には決して明るみにでなかったことが、今は事細かに世間に開示されるようになった。その背景がコレってことです。
(3)相撲の八百長・・・この話だって今初めて問題になるような新しい問題だと皆思ってないでしょ。じゃあなんで当事者の証言がおこわなれる裁判が“今初めて”なの?
そう。リークしている側は「大麻で首になった外国人力士」です。彼に言わしてみれば「六本木の夜なら誰でもやってる大麻で俺を首にするけど、国技とかいうNHKが何チャンネルもかけて放映する相撲って、八百長だらけやん」みたいな感じだろう。「俺の首切って、あんたらだけ正義の味方かい?」「なんか変じゃね?」と。
これも力士と相撲協会が“国技たる相撲界のメンバー”という虚構的人生を共有していた時代には決して「バレるはずのない」ことだったのだ。
3つともね、「その組織が運営するために不可欠な人」を大事にしなくなったから、簡単に切ろうとするから、“裏切り行為に対する復讐行為”としての悪行の内部告発、内部リークが起こるわけです。
悪いことをしてずうっと隠したいなら、それにかかわった人は「一生めんどうをみる」ことが必要なわけ。使い捨ての派遣社員に不正を見せたらバレるでしょ、普通、って感じです。正社員だろうと力士だろうと、いったん不正を見せた人は一生抱え込むしかないわけです。簡単に“手切れ”はできないと思うべきだ。
愛人だって関係が続いてる間は週刊誌に手記を売ったりしませんよ、ってのと同じ。だからマフィア系ギャングだと「組織から抜けるときは命はないものと思え」を徹底するわけでしょ。
不正を共有した“仲間”を平気で切る。
だから不正の発覚がとまらない。
おんなじ構造だな〜と思って。
今、外に隠したい不正がおありの組織の長の皆様、参考にしてくださいね!
ではでは
★★★
一応補足。ちきりんは別に「正社員に戻して不正を隠蔽しよう!」といっているわけではないです。派遣社員であれその他の非正規雇用者であれ、「本丸に外部者が入り始めた」ことは結果として“ガバナンスの監視機能”という「別のメリット」をもたらしはじめた、という気がしているのです。
だとしたら、その外部者に期待される役目は何なのか。それを一度しっかり果たしてみたら、“希望は戦争”の代替物になるというか、そっちのがいいじゃんというか。
つまり非正規社員って、「正社員では持ち得なかったパワーを持っている」ともいえるわけだ、と思ったのです。
そしてこうやって3つも揃うと“なるほどね”な感じだなあと思って。
んじゃ。
。
*1:間違いです。“元学者”ですね。passers-byさん、どうもです!
あれ諸悪の根源は厚生労働省の官僚さんだもん、で次に悪いのが社会保険庁という国家公務員
労組とちょい違う
でも、続発する不祥事の発覚の根底に、そういう背景があるのはその通りだと思います。
補足で書いてはる部分が一番面白い気がします。
トヨタで不正が出てきたとしたら、もう日本の経営陣の能力も限界に来た、って感じですかね。
(非正規社員をゴミのように切り捨てることが何をもたらすかすらも判断できない、という意味で。)
まだ証拠も出ていないですし。