議会で証言したリーマン・ブラザーズのファルド氏=6日、ロイター
【ワシントン=西崎香】米証券大手リーマン・ブラザーズの経営破綻(はたん)をめぐり、原因と経営責任を追及する米議会の公聴会が6日、下院監視・政府改革委員会で開かれた。証言したファルド最高経営責任者(CEO)には高額報酬や経営判断への批判が集中した。
「あなたが家に持ち帰った報酬は05年が8900万ドル(約89億円)、06年は株式(ストックオプション)を大量売却して1億ドル以上……」。委員会室に映し出されたファルド氏の報酬の一覧表を指し、ワックスマン委員長は「00年以降、4億8千万ドル(約480億円)以上を得たことになる。正しいことだと思いますか?」と同氏を詰問。ファルド氏は「報酬の大部分は株式だった……。かなり大きな額だが」と弁明に追われた。
米政府は3日に最大7千億ドル(約70兆円)の不良資産を金融機関から買い取り、金融機関を公的資金で救済する制度を創設した。国民1人あたりの公的資金負担は最大約2300ドル(約23万円)とされる。議会がリーマンに関する公聴会を開いたのも、9月15日の同社の破綻で金融不安が一気に強まり、税金負担による制度創設に追い込まれたとの印象が強いからだ。
ファルド氏は「1億4千万ドル(約140億円)のフロリダの別荘、100万ドル(約1億円)単位の絵画コレクションなども保有している」と議員に指摘された。他にも「ウォール(金融)街の幹部は利益を私有するが、損失は国民に押しつける」「(リーマンの)資本と流動性は十分、と公言していた。あなたは的確な判断ができなくなり始めていた」などと批判が相次いだ。
高額報酬が問題になったのは、同社が報酬を優先して経営がおかしくなったとの指摘があるからだ。委員会の調べでは、同社の系列会社幹部がリーマンの経営陣に「経営幹部は経費節減のためボーナスを見送るべきだ」との電子メールを送っていたが、ほとんど効果はなかったという。