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胎児への化学物質の影響、ES細胞で評価 国立環境研

2008年10月6日15時9分

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 人の万能細胞を使って胎児や赤ちゃんが化学物質にさらされた時の影響を詳しく調べる研究に、国立環境研究所(茨城県つくば市)が乗り出す。これまでは動物実験の結果を参照してきたが、人の受精卵からつくる胚(はい)性幹細胞(ES細胞)を使えば、化学物質への感受性が高いとされる胎児期の影響をより正確につかめると期待されている。

 曽根秀子主任研究員らが実施する。京都大再生医科学研究所からES細胞を入手し、化学物質を加えたうえで神経や血管に分化させ、細胞の形や遺伝子の働きにどんな変化が起こるかを観察する。ダイオキシンやポリ塩化ビフェニール(PCB)、ビスフェノールA、サリドマイドなど十数種類の物質の影響を5年程度にわたって調べる計画だ。

 胎児や赤ちゃんの時期に化学物質にさらされると、大人には害がないとされる基準値よりはるかに微量でも生殖機能や学習、行動、免疫などに異常をきたす、という研究報告が相次いでいる。マウスなどで実験をしてきたが、その結果が人にそのままあてはまるかは、よくわかっていない。実験でES細胞を使うことは、倫理面や科学的妥当性を審査する文部科学省の専門委員会が研究計画を了承している。(安田朋起)

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