千葉県鴨川市の亀田総合病院で、全身の筋肉が動かなくなっていく難病、筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)の男性患者(68)が「意思疎通ができなくなったら人工呼吸器を外してほしい」との要望書を提出し、病院の倫理問題検討委員会が「倫理上の問題はない」とする審議結果をまとめていたことが分かった。
同院によると、男性患者は現在、わずかに動く右のほおでパソコンを操作し意思を伝えている。昨年5月、主治医に対し、病状が進んで意思が伝達できなくなった時は、呼吸器を外すよう電子メールで要望。本人と家族4人の署名、押印入りの書面も手渡されたという。倫理委の提言を受けた亀田信介院長は「現時点で呼吸器を外すことはない」と説明している。
倫理委は今年4月までに3回審議し、「倫理上の問題はないと思われるが、刑事訴追される可能性がある」「本人の意向や、機器の発達を含めて周囲の状況は変化する可能性がある」との報告書をまとめた。会見した亀田院長は「病院としての答えは出ない。患者の気持ちを尊重するために最良の方法を議論することが重要」と話した。【柳澤一男】
毎日新聞 2008年10月7日 20時42分