傷つきながら働くこと
[写真]新潟刑務所への慰問で表彰を受ける。(筆者は右から3人目)
普段は会社員としての毎日を過ごしている。
月曜日から金曜日まで、朝8時から夕方5時まで働いている。
心身障害者のパフォーマンスイベントを運営するなど、様々な表現活動をするにはお金がかかる。
ギャランティーをいただく時もあるが、年間を通しての収支はかなり赤字だ。
表現活動はお金の為でなくメッセージの為にやっているので、身銭を切ることも、感謝してやっている。
働くことは、僕の日常を支えることの為、必要だ。
守るべきこともある。
母との二人暮し。
昨年末に父が亡くなり、お墓を建てたり、さまざまな費用がかかった。
長い間のひきこもり生活だった為、親の脛をかじって生きてきたが、今は自立できる事が嬉しい。
ひきこもりを脱出して、働き始めて三十歳で初めて自分の名前が書かれた健康保険証を貰った時に随分と嬉しかった。それまでは親の扶養家族だったからだ。
今の会社に勤めて、十三年、何回もやめたいと思った。
傷つく事、自分の限界に気づくこと、人間関係がうまくいかなくなる事、いただいた給料でやりくりして生活する事、会社員としての生活で「生きる」ことは具体的にどうすることなのか学んできた。
「やめたい」と思っている時、それが一番、学んでいる時だった。
普通の人々と普通に生きていくこと、それが僕にとって一番の課題だ。
傷つきながら働いていきたい。
会社は、元「ひきこもり」の僕にとって最高のリハビリの場所だ。