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【社説】ドル不足対策、過敏反応は自制を(下)

 国際金融市場に金が入ってこないのとは異なり、米国国債市場には金が流れ込んでいる。米国の3カ月物国債の収益率は最近、年0.47%まで落ちた。2年物国債の収益率も1.58%に過ぎない。インフレのことを考えれば、利益どころかむしろ損失が出るほどだ。それでも、世界の投資家は元金さえ守ることができれば満足しようと、米国国債に群がっている。世界最大の経済大国である米国が発行した国債であるだけに、どんなことが起きても不渡りにはならない、と信じているからだ。

 米国やヨーロッパの金融市場における信用収縮が、早期に解消される可能性は低い。米国で投入資金7000億ドル(約71兆円)規模のいわゆる金融安定化法案が発効したが、実際に資金が投入されるまではあと6週間かかるという。その後も、国際金融市場がすぐに正常に戻るのは難しい、というわけだ。韓国も当分の間は、外貨の流通問題を抱えながらベルトを締める覚悟をしなければならない。

 最近のドル高に対しても、特別な対策を用意しなければならない。今回の金融危機でドル高が進んでいるのは、世界的な現象だ。リーマン・ブラザーズの破綻(はたん)以後、ユーロをはじめとした大部分の通貨がドルに対して弱含み、2%から7%安くなった。ところがウォンは14%以上も安くなった。しかもウォンは、ドルだけでなくユーロや円など世界の主要通貨すべてに対して弱含んでいる。

 韓国の外貨資金市場が他国に比べことさらひどいわけではない。外国為替平衡基金債券(外平債)の加算金利を見ても、ほかのアジア諸国より上昇幅は少ない。国際金融市場で韓国が他国以上の危機にさらされているわけではない、ということだ。

 それでもウォンの価値だけが大幅に落ち込んだのには、韓国の金融機関や企業の過敏な反応が影響している。昨年10月の時点でも、輸出企業は先物為替の売り渡しを通じドルを放出していた。その影響で1ドル=900ウォンまでドル安が進み、ウォンの価値が異常に上がった。今年に入り問題になった「KIKO(金融界の通貨オプション契約で、為替相場の変動に伴うリスクに備えた一種の保険)」も、そうした雰囲気から出たものだ。個別の企業の立場ではそのようにするのが利益だが、結局は皆が害を被ることになる。今は逆に、ドルの買占めが発生し、経済全体に別な負担を強いている。政府と金融機関、企業のすべてが、外貨の流動性問題を解決する手法に意見を集中させるべき時期だ。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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