【社説】ドル不足対策、過敏反応は自制を(上)
姜万洙(カン・マンス)企画財政部長官が6日、市中銀行の銀行長(頭取)との懇談会で最近の「ドル不足」状態について、「海外の資産を早期に売却し、大企業が海外の銀行に預けていた外貨預金を韓国に戻すようにするなど、銀行自身の努力が必要だ」と語った。続けて「道徳的弛緩(しかん)を示す銀行には、ペナルティー金利を賦課する」とも。自助努力もせずに政府に助けを求めてばかりの銀行には罰を加える、というわけだ。
この日の外国為替市場では、一時1ドル=1290ウォンまでウォン安が進み、政府の介入により1ドル=1269ウォンで取引を終えた。ウォンに対するドルのレートは、今年9月15日に米国の証券大手リーマン・ブラザーズが破産して以降、14.7%も上がった。ドルが不足したからだ。外国人投資家らは過去4カ月間、韓国の証券市場で147億ドル(約1兆5000億円)相当の株式を売り払った。そして、その金でドルを買い入れ、海外に持ち出している。原油・原材料価格の上昇で、精油会社をはじめとした輸入企業のドル需要も昨年より大きく増えた。
反面、輸出企業は儲けたドルを積み上げ続けている。韓国でウォン安が進んでいるため、ドルを持っている方が利益になるからだ。同時にこれは、ドルを売った後に再び買い入れなければらない時に困難と直面するであろうことを考慮に入れた措置でもある。ドルを売ろうという人はほとんどおらず、買おうという勢力ばかりのため、ウォン安が進むしかない。
ドルに飢えた銀行は新規の外貨融資を事実上中断し、輸出手形の買い入れをはじめとした貿易金融業務も減らしている。その影響で中小の輸出企業は、輸出の注文を受けても原材料を買うためのドルを調達できず、地団駄を踏んでいる。政府が外国為替平衡基金から100億ドル(約1兆円)を売り出し、輸出入銀行経由でも50億ドル(約5098億円)を追加支援するとしたが、「ドル不足」は解消されていない。そこで姜長官は各行に対し、可能な限りあらゆる手段を動員してドルを確保せよ、と督励に出たわけだ。
問題は、ドルを買うのが難しいのは韓国だけではない、ということだ。最近の国際金融市場では3カ月、6カ月、1年単位の取引がほとんど姿を消し、1日単位の取引ばかりが行われている。今後に対する不安感のせいで、余裕がある銀行までもが市場で資金を運用しようと考えなくなった。銀行の基本機能である資金決済業務がマヒし、金融システムは崩壊しつつある、という懸念すら出ているほどだ。米国・ヨーロッパ・日本・イギリスの中央銀行が数千億ドルの短期資金を供給しているおかげで、市場がどうにか回っている、という状況だ。
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