村西とおる監督（クリックで拡大）

　ＣＳハイビジョン放送「スカパー！　ＨＤ」で日本初のアダルト専門ハイビジョン放送が３日からスタートした。高画質でリアルに裸体を堪能できるだけあってファンから注目を集めているが、“ＡＶの帝王”といわれた村西とおる監督（６０）は意外にも「映像の興奮は、鮮明さに正比例しない」と異を唱えた。

　開局したのは、熟女モノなど、いわゆる企画モノが中心の「アダルトＨＤレッド」（Ｃｈ９４８）と、単体女優モノがメーンの「アダルトＨＤブルー」（Ｃｈ９４９）の２局。

　ハイビジョン導入にあたっては、現在放送中の地上波デジタルやＢＳデジタルよりも新しい最新圧縮方式「Ｈ．２６４　ＭＰＥＧ−４」を採用しており、「高精細画像のうえ多チャンネル化が可能になった」（技術担当者）という。

開局発表会で、張り切るＡＶ女優陣。中央から左回りで、穂花、青山菜々、春咲あずみ、明日花キララ、星アンジェ、蒼井そら（クリックで拡大）

　番組配信会社スカパー・ブロードキャスティングの田中晃社長は「ハイビジョン映像に最も向くのは人間の肌。北京五輪をハイビジョンで見たときよりも、さらに見応えがあると思います」と記者発表で自信満々にアピールした。

　勃起する乳首、うるんだ瞳、滴る汗などを鮮明に映し出す映像は、「実際の肌を近くで見るのとほとんど変わらない」（制作会社関係者）ほどの迫力。ただ、毛穴まで細かく見えるため、開局発表会に登場したＡＶ女優、星アンジェ（２０）は「これからもっとお手入れしないといけませんね」と語っていた。

　ところが、「ナイスですね〜」の決まり文句で８０年代にＡＶブームを巻き起こした村西とおる監督に意見を求めると、とたんに噛みついた。

　「エロチシズムは、コントラストでございます。４０歳以上の熟女が“恥ずかしい、恥ずかしい”と顔を隠しながら、下半身からヨダレ汁を流すさまに男は興奮する。毛穴だの、しわだの、シミだのといった、おぞましいものを鮮明に見せられるよりも、見えない方がより想像力を刺激されます。ユーチューブにアップされる粗い画像のほうがよっぽど興奮するんです」

　もっとも技術のナイスな点は一定の評価をした。

　「テメエの女房を叩きのめしたくなるような美しい“高嶺の花”を見てみたい、女が鳥肌を立てて、肉体がレインボーのように七変化するさまを目の当たりにしたいのは自然の欲望でございましょう。現代技術の粋をきわめて、その欲望に答えるのは理解できなくもない」

　ちなみに視聴料金は１番組１日見放題のペーパーデイ（ＰＰＤ）が５００円。月契約では１チャンネル２１００円から。専用チューナーの価格は従来の３倍の３万円前後だが「鮮明なＨ画像を見られるなら安いもの」と思うかどうかは視聴者次第か。