県内の市町村が設置する公立病院10病院すべて(指定管理者制度導入の津和野共存病院は除く)の07年度決算が2年連続で赤字だったことが、県市町村課のまとめで分かった。赤字額は計28億8300万円と、前年度比8億9900万円減。市町村などからの繰入金は計32億7000万円に上った。大田市立病院と邑智病院の2病院は前年度より赤字が増加しており、医師・看護師不足や、設置自治体の財政難が影響していると見られる。
病院の内訳では、松江市立病院が、旧病院の取り壊し費用が減少したことから、14億3900万円(対前年度比38%減)と赤字額が減少。安来市立病院、奥出雲病院、隠岐病院の8病院で経費削減などから前年度より赤字額が縮小した。
逆に赤字が増加した大田市立病院は「医師・看護師不足が赤字の要因のひとつ」になったケース。看護師不足に悩む同病院では、看護態勢の維持が困難になったため、昨年12月から5階建て病棟の5階フロアの使用を休止した。患者数が減少したため赤字幅が拡大。前年度比88・1%増の2億7400万円の赤字となった。
邑智病院では昨年度、構成町からの自主財源による赤字補てんが見送られたため、1億8200万円(前年度比487・9%増)の赤字。邑南町財政課は「これまで赤字が出たら繰入金で補てんしてきたが、この財政難では厳しい。病院の経営努力の部分も見極め、必要な補てんは今後も行っていきたい」と説明している。
病院事業への繰入金は県内10病院で計32億7000万円に上っており、県市町村課は「繰入金は増加傾向にあるが、市町村の財政が厳しい中で、継続していくのは困難。経営改善に取り組む必要がある」と指摘している。【小坂剛志】
毎日新聞 2008年10月7日 地方版