救急病院への財政支援で議論スタート―消防庁
総務省消防庁の「消防機関と医療機関の連携に関する作業部会」(座長=有賀徹・昭和大学病院副院長)は10月6日、救急医療機関に対する財政支援の在り方について検討を開始した。病床数や職員の体制などで補助金額を決めている特別交付税措置などについて、部会としての提言を年度内にまとめる予定だ。
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事務局が提案した、救急医療機関に対する財政支援についての検討の方向性は、▽三次救急医療機関への実際の収支差額に対応した支援▽都道府県や市町村が公立の二次救急医療機関に支出している繰り出し金額の水準に応じた地方財政措置▽民間の二次救急医療機関への役割に応じた支援▽二次救急医療機関への救急患者の受け入れ実績などによる支援―の4項目。
現在、公立の救急医療機関に対する財政措置は、特別交付税措置として、救命救急センターの場合は病床数に応じて都道府県や市町村がそれぞれ実施している。救急告示病院の場合は、救急患者を受け入れる専用病床数や、医師など職員の体制、救急専用手術室など施設の体制に応じて4ランクに分け、都道府県と市町村が実施している。
事務局が提出した資料によると、都道府県と市町村の救急医療機関(公立、民間)に対する支出額は、小泉内閣の三位一体改革によって国庫補助負担金の廃止や縮減などが始まった後の2005年度から3年間で、約37億円増えていた。さらに詳しく見ると、市町村から救急医療機関に対する支出は41億円増えていたが、都道府県からの支出は約4億円減っていた。公立病院に対する、都道府県や市町村の一般会計からの繰り出し金額は43億円増えていたが、民間病院に対する補助金額は6億円減っていた。
また、07年度の救命救急センター一病院当たりの年間収支差額の平均は、1億6892万円のマイナスで、一病床当たりでは、426万円のマイナスだった。
作業部会では意見交換が行われ、委員からは職員や設備など医療機関の体制によって補助金額が決まるのではなく、救急患者を多く受け入れていたり、地域の実情に応じた役割を果たしていたりするなど、実際の取り組みに応じた支援の在り方を検討するよう求める意見が出た。
作業部会と上部組織の「救急業務高度化推進検討会」では、不採算が指摘されている救急医療部門について、補助金や診療報酬の見直しによる支援などを求める意見が上がっている。
更新:2008/10/07 14:55 キャリアブレイン
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