全国の共同作業所でつくる「きょうされん」(東京都)の全国大会が4、5の両日、広島市で催された。5日は中区基町のNTTクレドホールで「障害と平和」をテーマにした市民講座が開かれ、約100人が参加した。司会を務めた大会実行委員長の浅井基文・広島市立大広島平和研究所長=写真左端=の他、「はだしのゲン」の作者・中沢啓治さん=同左から2人目=ら4人がパネリストとして登壇。
原爆小頭症患者を支援する女優・斉藤とも子さん=同左から3人目=は「被爆者の子が障害を持って産まれても、みな障害者手帳を持っていなかった。当時は原爆のせいだから障害者とは違うと思われていた」と発言した。障害者の孫娘を持つ浅井委員長は「人為的とはいえ、被爆者が障害を持っているという状況がある。広島で障害への理解を広げるため、障害者と被爆者の相互理解が必要。両者には差別という共通の問題がある」と指摘。中沢さんは「60年代に東京では、被爆者だと分かると冷たい目で見られた。広島から差別をなくして連帯していかなければ」と応じた。
さらに、中沢さんは「天皇や軍部はポツダム宣言を無視し、その結果、広島・長崎で多くの人が亡くなった。なのに戦後、天皇が広島に来た時には日の丸を振るように学校で言われた。なぜ万歳なのか。今でも腹の中が煮えくり返る思いがある。日本人は甘いと思う」と話した。浅井委員長は「広島が平和を訴えるなら、広島は何かを根本的に見直さなければならないのでは」と応えた。【矢追健介】
毎日新聞 2008年10月6日 地方版